共済会或いは美生会

どの国の、どの言語のテクストにせよ、例えばフリーメイソン*1関係の語彙が出てきたら、そのトンデモ度を警戒し、眉に唾をつける準備をしなければならない。また私たちは、フリーメイソンの陰謀を云々する人が同時に「小沢信者」や「反米保守」である確率が高いということを経験的に知っている。さてfreemasonだが、中国語では「共済会」或いは音訳して「美生会」という*2。そして、最近「共済会」陰謀理論と「毛左」との親和性が高いことに気づいた。 何新『統治世界:神秘共済会掲秘』という本が2011年に刊行されている*3。検索をかけてみると、中国における「共済会」関係の言説の大多数にはこの「何新」という人名が絡んでいることがわかる。何新というのは中国の知識人の中でも最も謎めいた経歴を持つ人物のひとりで*4、1980年代は中国の古代神話に関する本を刊行していたが、天安門事件後に李鵬取り巻きの文化人、新たな体制派の論客として国際的にも注目されるようになった。その後段々と知名度は下がっていったのだが、何時の間にかにフリーメイソン陰謀理論に嵌るようになっていたわけだ。 何新は「烏有之郷」書店のサイトに「共済会的研究概況」を寄稿しているが*5、これはリンクが豊富で資料的な価値は高いといえる。またベンジャミン・フルフォードもちゃんと参照されている。トンデモに国境なし?
まあフリーメイソンに気をつけろということは、日本語だけでなく中国語の文脈でもいえるわけだ。