中国と野球(メモ)

以前読んだ酒井亨氏の『哈日族*1に、台湾でも棒球(野球)を受容しているのは元々台湾に住んでいて日本の殖民地統治を経験した所謂「本省人」だけで、日本敗戦後に大陸からやってきた所謂「外省人」の間では野球は殆ど人気がないと書かれていた。中国大陸で野球はバスケットボールやサッカーと比べて人気がないというか、そもそも大衆文化としての体を為していないともいえる。そういうわけで、中国文化圏と野球との親和性は薄いものだと思っていた。

哈日族 -なぜ日本が好きなのか (光文社新書)

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しかし中国にはbaseballが日本よりも数十年も早く伝来しており、現代中国の国父といえる孫文も大の野球好きであったという*2。さらに驚いたのは中国大陸において野球の伝統が文化大革命によって断絶するまで細々と続いていたということだ。実際、祖父が学生時代に野球をやっていたので野球に興味を持ったという子どもがいる*3
昨年、(米大リーグにとって)今後は「(大衆文化としての野球が全く根付いていない)未開拓市場としての中国攻略に主力が注がれるかも知れない」と書いた*4。実際MLBは中国でどのように動いているのか。 Leslie Jones “Built It, They Will Come”( that's Shanghai July 2012, pp.14-15)によると、2008年に中国事務所を開設し、2009年には江蘇省無錫と常州に(地元の高級中学*5と提携して)Development Centerを開設し、チベットや新疆を含む中国全土から生徒を集め、野球を教え込み、卒業後は先ず米国のマイナー・リーグで経験を積ませるという。また既に中国全土の120の小学校で野球教室を開催している。MLBによれば、NBA姚明*6を発掘するまでに20年を要したが、MLBはそれを10年でやるのだという。
ところで映画版『八日目の蝉』*7を観たのだが、秋山恵理菜(井上真央)が倉庫でアルバイトをしていて、その昼休みにアルバイトたちがキャッチ・ボールをしているのが背景として映し出されていた。それを見て、キャッチ・ボールまだやってるんだ! と思わず唸ってしまった。この映画で印象に残ったのは坂道の反復と斜め後ろ上からのショットの多様。またこの映画と関連して、少なくとも2本は撮れるのではないかと思った。例えば出所後の野々宮希和子(永作博美)の物語。そして幼時に秋山恵理菜と「エンジェルホーム」で一緒に過ごした安藤千草(小池栄子)の物語。
八日目の蝉 通常版 [DVD]

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