周作人手稿

陳若茜「周作人手稿何以成了唐弢珍蔵?」『東方早報』2012年5月11日


1918年に周作人*1が1918年に北京大学で行った講演「日本近三十年小説之発達」の魯迅による校閲の入った原稿が「嘉徳公司」のオークションにかけられることになったが、周作人の孫、周吉宜氏(63歳)はこの手稿は1966年8月に紅衛兵に掠奪されたものであるとして、その所有権を主張し、原稿の競売差し止めを訴えている。周吉宜氏はその原稿を少年時代に自宅で見た記憶があるといい、文化大革命終了後に中国政府は掠奪された物品を周作人の遺族に返却したが、そこにはこの原稿は含まれておらず、今までその所在は不明になていたという。「嘉徳公司」側は周吉宜氏側が文革の際に掠奪されたものであるという十分な証拠を示していないとして、その訴えを拒絶している。中国民法によれば、この場合の「挙証責任」は周吉宜氏側にある。この周作人の講演原稿は「唐弢」という人のコレクションの一部としてオークションにかけられるもの。「唐弢」も既に故人であるが、彼がどのような経緯で周作人の原稿を入手したのかということも明らかではない。