Malinowski matters

マルセル・モースの世界 (平凡社新書)

マルセル・モースの世界 (平凡社新書)

佐久間寛「経済 交換、所有、生産――『贈与論』と同時代の経済思想」(in モース研究会『マルセル・モースの世界』*1、pp.181-212)


ここでは、モースの「贈与論」の一つの前提になっているマリノフスキーによる「クラ」の分析について述べられた箇所をメモしておく;


マリノフスキーは、クラの分析から明らかとなった事実をふまえ、二〇世紀初頭の西欧で主流だった「原始経済」(古代西欧や非西欧世界をめぐる経済)観をきびしく批判した。彼によると、西欧が思い描いてきた原始経済とは、人が自分のもっとも素朴な欲求を満足させることだけを考え、最小限の努力でそれ実現しようとする経済である。この経済像の前提となっているのは、物質的で私的な利益を追いもとめる人間像、唯物的で功利的な人間像である。それに対してクラは、物質的欲求をみたすために困難な航海にのりだしているわけでも、見返りを期待して到着した人々を歓待しているわけでもない。非西欧世界で「原始経済」の人々に想定されてきた唯物的・功利的な人間像とは、市場経済を前提とした西欧的な自己像の反映にすぎないのである。(pp.186-187)
社会学と人類学 (1)

社会学と人類学 (1)

マリノフスキーを巡って;


Wikipedia
http://en.wikipedia.org/wiki/Bronis%C5%82aw_Malinowski
Papers of Bronislaw Malinowski (LSE Library)
http://www2.lse.ac.uk/library/archive/holdings/malinowski_bronislaw.aspx