Rejoinder from Fukuoka

承前*1

『読売』の記事;


セネガル人留学生、年令詐称ない…高校側が反論

 2004年の全国高校総合体育大会の男子バスケットボールで優勝しながら、年齢を若く偽ったセネガル人留学生を出場させたとして、全国高校体育連盟に成績を取り消された福岡第一高校(福岡市)が5日、東京都内で記者会見した。

 都築仁子(きみこ)校長やバスケットボール部の井手口孝監督らが出席し、「年齢詐称はなかった」と処分の不当を訴えた。

 全国高体連が処分の根拠としたのは、08年10月のセネガル政府の調査。留学生は来日直前に虚偽の生年月日を申告して出生証明書を作成したとの内容で、これに基づき、大会当時は22歳で参加資格がなかったと判断した。

 これに対し、学校側は昨年9月にセネガル政府に再調査を要請。その結果、大会当時17歳となる生年月日が正しいとする回答が得られたと主張した。これを全国高体連にも通知したといい、都築校長は「処分は事実を無視しており、公平、透明性に疑問がある」と憤った。

 また、井手口監督は「決して留学生一人の力で優勝したわけでない。頑張った日本人の生徒たちに、とにかく悪いなと思う」と心境を語った。同席した石川達紘弁護士は「全国高体連は間違った事を、間違っていると知りながら発表しており、名誉毀損(きそん)に当たる」と話し、状況に応じて法的手段に訴える姿勢を見せた。
(2011年9月5日19時16分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/sports/news/20110905-OYT1T00841.htm

福岡第一高校」側の反論。前回の記事*2について感じた疑問が一つ解けた。セネガル現地調査は行っていなかった。セネガル政府の調査に依存していたこと。但し、セネガル政府の調査は2通りあり、どちらも全く食違った結果が出ている。セネガル政府(のどの部署だよ?)はどのような根拠で、年齢詐称があったとか、逆になかったとかいう結論を出したのか。
改めて疑問に思うのは、「全国高校体育連盟」側も「福岡第一高校」側も、この件に関して、「ディアン・ティエルノ・セイドゥ・ヌロ」氏本人に接触した形跡が感じられないことだ。「全国高校体育連盟」は、このような根拠でこのような処分を下す以上、「ディアン・ティエルノ・セイドゥ・ヌロ」氏本人に対する事情聴取という手続を抜かすのはおかしいと思う。吉本興業だって、島田紳助*3と直接面談した上で引退せぇやと恫喝したわけでしょ。「福岡第一高校」側も「全国高校体育連盟」に反論するのはいいとして、記事では「ディアン・ティエルノ・セイドゥ・ヌロ」という名前は全然出てこない。仮にも生徒として在籍していた人だよ。「ディアン・ティエルノ・セイドゥ・ヌロ」氏がほんとうに年齢を詐称していれば、虚偽の申請による旅券の取得とその行使であり、セネガルにおいても日本においても(刑事罰を科される狭義の犯罪ではないにしても)犯罪を構成する。年齢を詐称していなければ、「ディアン・ティエルノ・セイドゥ・ヌロ」氏は冤罪の被害者であり、その名誉は既に著しく毀損されていることになる。井手口孝って野郎は「頑張った日本人の生徒たちに、とにかく悪いなと思う」とか暢気なことを言っているけど、かつて生徒だった者が犯罪者になるかならないかという瀬戸際に立たされているという情況を理解していないんじゃないか。
さて、高校留学というのは扱ったことはないけど、日本への大学留学関係の書類は仕事で屡々翻訳している。日本の大学に留学するためには、日本における高校と同等の教育課程を修了している必要がある。つまり、(中国であれば)高級中学の卒業証明書が必須なのだ。高校留学の場合でも、日本の中卒と同等の9年間の教育を受けていることの証明が必要な筈であり、それがなければ留学ヴィザも発給されない筈だ。ということで、本人が卒業したとする〈中学〉の関係者(例えば同期生)に密かに接触して、例えば写真を見せて、こういう奴同学年にいなかった? とか訊けば、真相はけっこう簡単にわかるのではないか。
ところで、そもそも何故セネガルからバスケットをやりに日本へ? というのが疑問として浮かんできたのだった。将来角力取り、横綱になりたいと思うモンゴル人が日本に留学するというのはわかるよ。でも、バスケットで身を立てようと思うなら、米国に留学して、NBAを目指そうとか考えるんじゃない? とか思ったのだった。