文学サークルの時代

雑誌『CHUTZPAH! 天南』の特集「詩歌地理学(Mapping Poetry)」*1、特に徐敬亜氏の「燃焼的中国詩歌版図」(pp.23-53)を捲ってみると、中国の1980年代というのは文学サークル(文学結社)の時代でもあったということがわかる。ところで、陳丹青氏によれば、中国における1980年代は1977年に始まっている(「幸虧年軽」in 『荒廃集』、p.352*2)。1978年から1980年にかけて中国全土の大学に文学サークルが出現し(pp.35-37)、さらに中学*3(pp.37-39)、都市部のホワイトカラー、ブルーカラー労働者、失業者(「待業青年」)にも拡がった(p.39)。その殆どは謄写版印刷の同人誌を発行しており、相互にネットワークを形成していた。1978年に貴州省だけでも24の同人誌が出現したという(p.36)(地下雑誌でありながら)中国における現代詩をリードし続けた『今天』(1978年創刊)(p.28-29)は雨後の筍の如く出現した文学同人誌の先駆であったわけだ。なお、中国大陸では1949年以降文学サークルを結成することは不可能だった。例えば、1960年に北京大学哲学科の学生、郭世英(郭沫若の息子)が地下サークル「X詩社」を結成したが、同人は全員逮捕され、郭世英は自殺に追い込まれた(p.26)。