トラヴェル・ライターたち(メモ)

Justin Marozzi “Traveling the Globe Page by Page” Newsweek May 23 & 30, 2011, pp.68-73


Newsweekの特集”Not So Lonely Planet*1
Justin Marozziの文章は代表的なトラヴェル・ライターとその代表作の紹介。ここに挙げられた著者たちとその著書については殆ど知らないのだが、取り敢えず勉強のためにメモしておく。
Martha Gellhorn(1908-98)
米国人。女性戦争記者。第二次大戦で解放されたダッハウ強制収容所を最初に取材する。戦後はヴェトナム戦争第三次中東戦争、南米の内戦などを取材する。第二次大戦中、アーネスト・ヘミングウェーと結婚していた。挙げられた代表作はTravels With Myself and Another(1978)(p.68)。
なお、 Gellhorn & Hemmingway夫妻による第二次大戦中の中国取材については、Frances Wood The Lure of China, Chapter 17, “Wartime Visitors”*2を参照のこと。

The Lure of China: Writers from Marco Polo to J. G. Ballard

The Lure of China: Writers from Marco Polo to J. G. Ballard

Freya Stark(1893-1993)
イングランド人。1930年代から中東を取材し始める。代表作はThe Southern Gates of Arabia: A Journey in the Hadhramaut(1936)(ibid.)。

Norman Lewis(1908-2003)
イングランド人。彼を絶賛している人にはグレアム・グリーンがいる。代表作はA Dragon Apparent: Travels in Indo-China(1951)。ほかに、Naples, '44ナポリについて)、The Honoured Society(伊太利のマフィアについて)、Golden Earthビルマについて)(p.69)。

Dervia Murphy(1931- )
アイルランド人。代表作はFull Tilt: Ireland to India With a Bicycle(1965)。彼女は自転車で旅行することが多いという。曰く、”Her writings reflect her style of travel: courageous, uncompromising, and completely original, brimming with raw energy and righteous anger.”(ibid.)

Ryszard Kapuscinski(1932-2007)
ポーランド人。代表作はAnother day of Life(1987)。ほかに、革命による帝政エチオピアの滅亡を描いたEmperor、イランのパーレヴィ王朝の滅亡を描いたShah of Shahs(p.70)。

Jan Morris(1926- )
ウェールズ人。彼女は都市のポートレイトを描くことに専念している。代表作はVenice(1960)。ほかに、OxfordHong KongTrieste and the Meaning of NowhereManhattan '45(ibid.)。

V. S. Naipaul(1932- )
代表作はAn Area of Darkness: His Discovery of India(1964)。また、Among the Believers(1981)(p.71)。

インド・闇の領域

インド・闇の領域

Patrick Leigh Fermer(1915- )
代表作はA Time of Gifts: From the Hook of Holland to the Middle Danube(1977)。彼の紀行は希臘に集中している。ほかに、Woods and WaterMani(ペロポンネソス南部)、Roumeli(希臘北部)(ibid.)。

Tim Mackintosh-Smith(1961- )
イエメンに30年以上居住している英国人。14世紀アラブの旅行家Ibn Battutah*3をリスペクトしている。代表作はTravels With a Tangerine: In the Footsteps of Ibn Battutah(2001)(p.72)。

Cees Nooteboom(1931- )
和蘭人。代表作はRoad to Santiago(1997)。ほかに、トラヴェローグ集としてNomad's Hotel(ibid.)。

Colin Thubron(1939- )
英国人。代表作はAmong the Russians: From the Baltic to the Caucasus(1983)。最新作はチベットカイラス山への旅を描いたTo a Mountain in Tibet(p.73)。

Paul Theroux*4(1941- )
米国人。代表作はThe Great Railway Bazaar: By Train Through Asia(1975)。ま、The Old Patagonian Express(ボストンからパタゴニアまで)、Dark Star Safarl(カイロからケープ・タウンまで)(ibid.)。

また、Justin Marozzi氏の最新作はThe Way of Herodotus: Travels With the Man Who Invented History。『歴史』のヘロドトスの足跡を自ら辿るとはこれがいちばん面白そう。

歴史 上 (岩波文庫 青 405-1)

歴史 上 (岩波文庫 青 405-1)

歴史(中) (岩波文庫 青 405-2)

歴史(中) (岩波文庫 青 405-2)

歴史 下 (岩波文庫 青 405-3)

歴史 下 (岩波文庫 青 405-3)

さて、現代の中国語圏における代表的なトラヴェル・ライターといえば三毛ということになるのだろうか。雑誌『MING』*5の6月号では三毛についての小特集を組んでいる――南美瑜、陳淑貞、藍漢杰「重読三毛 送你一匹藍色的馬」(pp.138-152)。三毛は本名を陳平といい、1943年に重慶で生まれた。台湾文化大学哲学系在学中の1967年に西班牙マドリードに留学。1970年に帰国し、台湾文化大学の講師となるが、1971年に台湾を離れるが、西班牙人の夫の事故死を契機に1981年に台湾に戻る。1991年に享年48歳で死去。