逆転?

承前*1

村上敦「フランスが電力の輸入国に」http://blog.livedoor.jp/murakamiatsushi/archives/51384274.html


よく自然エネルギー代替エネルギー)はエネルギーの供給が天気の変化に左右されるので不安定だといわれる。例えば晴れか曇りか。風が弱いか強いか。
上掲の記事によると、原子力発電も天気の影響は免れ得ないようだ。2009年に仏蘭西では川の水位が低下して原発の冷却水をまかなえず近隣諸国から電気を輸入せざるを得ない破目に陥った;


まずは、今年の夏に、河川からの冷却水が足りず、原発の出力を落とさざるを得ない事態が発生、そして近隣諸国から電力の大々的な輸入を行なう事態が発生しています。

そして、先週からはじまった寒波の到来で(先週末はフライブルク市はマイナス22度を記録しました。寒いです)、電力蓄熱式ヒーターや電気ヒーターなど、低温という低価値の暖房を愚かなことに高級な電気エネルギーでまかなっている国フランスでは、暖房用の電力需要が急騰、またしても電力が足りない事態を招いてしまいました。現在、ドイツからは、原発4基分の電力がフランスへと輸出されています。もちろん、この電力は、16%の自然エネルギーがMIXされたクリーンな電力です。

「気候条件により不安定だ=自然エネルギー

という構図は、もはや通用しないこのごろです。

「気候条件により不安定だ=原子力エネルギー」

こちらのほうが、事実上は適当な計算式であることが証明されています。日本でも愚かなことに、未だに、新築で深夜電力蓄熱式ヒーターなどが設置されているようです。

See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110401/1301647461
また、電気を巡る国際的な相互依存の例として、コメント欄での、

揚水式の水力発電所を沢山持ち、ピーク時の調整機能の役割を持つスイスが、ドイツの深夜の原発・石炭火力電力のほとんどの引き取り手です・・・もし、ドイツにスイスという近隣国がなかったとしたら、すでにベースロードを提供する大型発電所は存在しなかったと思います。

スイスのエネルギー業界も、深夜に安く手に入れて、昼間に高く売るという濡れ手に粟の手法が使えなかったら、こんなにも原子力ロビーが力を持っていなかっただろうと思います。日本でも、山国の落差は、ある企業だけではなく、税収のようにそこにすむ市民の権利にするべきでしょう。

そういえば、社会的なトピックとして日本における原発に対応するのは、中国では「三峡」*2だろうか。最近、長江中流域の旱魃を契機として、水量の低下や水質の悪化など、三峡開発に疑問を呈する報道が相継いでいる。上海でも長江の水量低下による海水の逆流が懸念されている。