3D!

「3D映画がやってきた」http://filmmania.blog.so-net.ne.jp/2011-01-26


3D映画の歴史。ヒッチコックが『ダイヤルMを廻せ!』を3Dで撮影しながら結局2Dのまま公開したという話は興味深かった。勿論、ジェームズ・キャメロンの『アヴァター』の意義、そしてIMAXテクノロジーの話もある。

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上のエントリーにも書かれているように、3Dそれ自体は決して新しいことではない。昔から時々3D(昔は立体映画といっていた筈だ)がかかることはあったけれど、私の記憶では大体が色物扱いで、そうした映画たちが批評的にも興行的にも大当たりしたということはあまり聞かない。また、3Dということでなくとも映画をできるだけ立体的に見せようという努力というのはあったわけだ。例えばシネラマとか。シネラマというと、銀座と京橋の境目にあったテアトル東京という映画館と、『2001年宇宙の旅』、『地獄の黙示録』といった映画を思い出す。『未知との遭遇』や『スター・ウォーズ』もテアトル東京のシネラマで観たのだった。俺は『アヴァター』はIMAXで観たが、たしかにあの演出は3Dである必然があった。ただ、『三丁目の夕日』の3Dなんて見たかねぇよ。また、さらに重要なのは、2Dであっても、映画においてはまさに絵が動くということによって、私たちはそれなりの〈三次元性〉を楽しんできたという事実だろう。
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ところで不図思ったのは、2Dと3Dの併用に可能性はないのかということだ。Black Swan*1ではヒロインの主観的妄想と客観的現実との区別の付け難さが観る者をひりひりさせるわけだが、映画において登場人物の主観的妄想と客観的現実との区別*2を表現しようとして使われてきたのは、例えばカラー/白黒、実写/アニメーションという差異だろう。2D/3Dという差異を使ったらどうなるのか。例えば、キモオタが主人公だとして、客観的現実はノーマルな2Dの映像を使って、その主観的妄想(萌え)のシーンだけ3Dを使うとか。まあ、キモオタが主人公の映画が興行的に成功するとは思えないが。
さらに思ったのは、3D流行りへのバックラッシュとして、白黒スタンダードの映画ばかり連発されるということになっても、それはそれで楽しいことだろうということだ。

*1:See http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110127/1296107547

*2:また回想(過去)と現在との区別も。