魯迅故居生き延びる

呉玉蓉「魯迅周作人北京故居終獲保留」『東方早報』2011年1月14日


北京の「八道湾胡同」にある魯迅故居は取り壊しの危機に瀕していたが、故居を含む「八道湾胡同」が現在建設中の「北京第35中学」の敷地に移され、魯迅故居は同中学の図書館の一部として使われることになったという。
1919年に魯迅は「八道湾胡同」のこの家を3675元で買い、弟の周作人と住み始め、同年12月には紹興から家族も呼び寄せた。1923年8月に魯迅はこの家を出て、「磚塔胡同」に引っ越すが、それ以降も周作人は「八道湾胡同」の家に住み続けた。魯迅はこの家で「風波」、「故郷」、「阿Q正伝」を書き、最初の小説集『吶喊』をまとめた。

吶喊 (中公文庫 C 1)

吶喊 (中公文庫 C 1)

ところで、藤田省三氏は「魯迅邸では魯迅の母や妻、それに故郷の紹興から連れてきた使用人や紹興出身の寄宿人たちのあいだでは紹興方言が、周作人・周建人の日本人妻羽太信子・芳子姉妹とその子供たちのあいだでは日本語が用いられるというように、バイリンガルの世界であった」(『現代中国文化探検』、p.17)と記している。
現代中国文化探検―四つの都市の物語 (岩波新書)

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周作人については、http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080306/1204779649 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090218/1234940110 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20100105/1262708820も参照のこと。