葉渭渠

石剣峰「他最早把川端和三島訳成中文」『東方早報』2010年12月15日


12月11日、翻訳家の葉渭渠氏が北京の病院にて死去。享年80歳。「1980年初、葉渭渠突破意識形態阻力、翻訳出版了川端康成三島由紀夫作品、校正了当時中国読者対日本文学的印象」。葉渭渠氏の本貫は広東省東莞で、1929年にヴェトナムに生まれ、1952年に帰国し、北京大学で日本語とヒンディ語を学んだ。1972年以降は人民文学出版社に勤務し、後に中国社会科学院日本研究所研究員となった。翻訳家としての代表的な仕事は川端康成の翻訳で、1980年代に、『伊豆の踊り子』、『雪国』、『千羽鶴』、『眠れる美女』、『名人』、『掌の小説』などを翻訳している。三島由紀夫を初めて訳したのは文化大革命中で、「軍国主義分子」である三島由紀夫に対する「作為内部参考的批判資料」として『憂国』等の翻訳を命ぜられた。1980年代に三島作品の中国での出版を計画し、10巻本の三島作品を刊行した。また、日本映画『砂の器*1の中国語吹替え用の翻訳も担当した。著書には、『川端康成伝』、夫人である唐月梅女士との共著で、『日本文学史』、『日本文学簡史』、『20世紀日本文学史』等がある。

伊豆の踊子 (新潮文庫)

伊豆の踊子 (新潮文庫)

雪国 (新潮文庫)

雪国 (新潮文庫)

千羽鶴 (新潮文庫)

千羽鶴 (新潮文庫)

眠れる美女 (新潮文庫)

眠れる美女 (新潮文庫)

掌の小説 (新潮文庫)

掌の小説 (新潮文庫)

砂の器 [DVD]

砂の器 [DVD]