クレタ人から

GRAHAM PRIEST “Paradoxical Truth” http://opinionator.blogs.nytimes.com/2010/11/28/paradoxical-truth/


冒頭に所謂「嘘つきパラドクス(Liar paradox)」が採り上げられている。グリーン教授が33番教室の黒板に


Everything written on the board in Room 33 is false.


と書いたというもの。
「嘘つきパラドクス」とはIf L is true, then L is false.が成立してしまうこと*1。「嘘つきパラドクス」といえばクレタ人問題ということなのだろうけど、


クレタ人は嘘つきだとクレタ人が言った。


というのは、量子化をして、


多くのクレタ人は嘘つきだとクレタ人が言った。
or
何人かのクレタ人は嘘つきだとクレタ人が言った。


にすれば、パラドクスは解消することになる。或いは自己言及が問題なので、自己言及を外すように切断処理すること。


俺以外のクレタ人は嘘つきだとクレタ人が言った。


これは


俺の命令に従うな。


というパラドクスにも有効だろう。


この命令以外の俺の命令に従うな。


とすればいいのだから。上に挙げたグリーン教授のEverything written on the board in Room 33 is false.もexcept for this sentenceと付け加えればいいことになる。ただ、量子化にしても切断処理にしても、


この文は偽である。


というようなパラドクスには適用できない。
卒業論文(or期末試験)必勝法というのを思いついたことがある。それは結論として、


川瀬先生は私を落とすだろう。


と書き込むこと。実は必勝法では全然ないのだけれど(後で気づいた)。落第になったら結論が正しいことが証明されて、正しい結論の論文(答案)を落第にするのは如何なものかということで、合格になる。逆に合格になると、結論の誤りが証明されたことになり、誤った結論の論文(答案)を合格されるのは如何なものかということで、落第になる。以下循環。

*1:Bradley Dowden “Liar Paradox” http://www.iep.utm.edu/par-liar/