承前*1
- 作者: 芥川龍之介
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2001/10/10
- メディア: 文庫
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１「鳴物の騒々しさ」
２「極端に道具を使わない事」
３「隈取りの変化が多い事」
４「立廻りが猛烈を極める事」
少し前に「京劇は歌というよりもノイジーな音楽と動作ですね」と書いたのだが、芥川は
という。
殊に武劇――立ち廻りの多い芝居になると、何しろ何人かの大の男が、真剣勝負でもしているように舞台の一角を睨んだなり、必死に銅鑼を叩き立てるのだから、到底天声人語所じゃない。実際私も慣れない内は、両手に耳を押さえない限り、とても坐ってはいられなかった。が、わが村田烏江君などになると、この鳴物が穏やかな時は物足りない気持ちがするそうである。のみならず芝居の外にいても、この鳴物の音さえ聞けば、何の芝居をやっているか、大抵見当がつくそうである。（pp.31-32）
