「六歳児レベル」?

某マイミクさん経由で知る。
東京新聞』の記事;


脳に電流『数学力アップ』 逆向きは低下

2010年11月10日 夕刊

 【ロンドン=有賀信彦】脳の一部に弱い電流による刺激を与えると数学の能力がアップする可能性も−。英国のオックスフォード大とロンドン大の合同チームがこんな研究成果を医学専門誌「カレントバイオロジー」に発表した。

 オ大のカドッシュ医学博士(神経科学)率いる合同チームは、学生十五人の両耳に電極を設置。一ミリアンペアの電流を後頭部に流した後、数学の能力を調べる数種類のテストをする実験を六日間した。

 その結果、右から左に電気を一日二十分間流したグループの成績は以前より向上。

 電気を流さないが流していると説明されたグループは以前とほぼ変わらず、左から右に同様に電気を流したグループは以前より成績が悪く、六歳児レベルまで落ちたという。

 博士は「まだ自分で試すことは勧められない」と前置きし「この成果はアインシュタイン博士のような天才を生むようなものではないが、数学の学習障害のある人たちを助けられるかもしれない」と話した。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2010111002000185.html

また、ロイターの記事;

脳への電気刺激で数学力向上、効果は最長6カ月持続=英研究

11月08日 01時20分

 [ロンドン 4日 ロイター] 英オックスフォード大の神経科学者のチームは4日、微量の電流で脳に刺激を与えると数学的能力が最長6カ月間にわたって向上するとの研究結果を発表した。

 同研究には15人のボランティアが協力。数学的思考を司るとされる脳の「頭頂葉」に6日間刺激を与え、数学のパズルを解く速さと正確さを測ったところ、効果がみられたという。

 研究を率いたコーエン・カドッシュ氏は、「電気刺激を受けるよう人々に勧めているわけではないが、今回の発見には非常に興奮しており、脳にどのような変化が起きたのかを精査している」と語っている。

 同研究チームは先月、脳の深部に電極からの刺激を与えることで、他の治療法では効果が得られなかった重度の強迫性障害の患者の症状を改善できる可能性があるという研究結果を発表していた。
http://news.ameba.jp/world/2010/11/88446.html

先ず、この実験そのものがよく大学の倫理委員会を通ったなという感じはする。
以前、鷲田清一『教養としての「死」を考える』を引きながら、アルツハイマーにおける短期記憶の衰退を緩和する薬が受験生用の暗記力増強剤として使われる可能性を妄想したのだが*1、俺も電流流されたい! と思う受験生とかもけっこう出てくるんじゃないか。薬であればドーピング検査に引っかかるという可能性もあるが、電流だったらそういうことはないだろう。また、闇で電流を流す奴も出てきて、さらに逆の方向に電流を流されて、「六歳児レベル」まで退化してしまうという〈医療事故〉も多発したりして。ところで、数学能力が「六歳児レベル」まで落ちるということは割り算は勿論のこと、九九も忘れて掛け算もできなくなるということ? 効果の持続は「最長6カ月間」ということだが、「六歳児レベル」の持続はどれくらいなのか。これも「最長6カ月間」だとしたら、その被験者はたまったものではないな。
教養としての「死」を考える (新書y)

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