Why light?

長谷部悠作「何故小説は売れないのか」http://gong.gloomy.jp/blog/2010/04/novel-unpop01.html


これが(戸籍上の)実名なのか筆名なのかもわからない。また、彼がクリエーターなのか批評家なのかもわからない。いずれにせよ、ここに書かれていることは陳腐で、且つ馬鹿らしいことだとは言える。そもそも小説が売れないなんて、少なく見積もってもここ30年くらいは言われ続けてきただろう。また、彼が小説と対比している漫画にしても、その最盛期と比べれば、売り上げなどは悲惨なものだとはいえるだろう。それから、小説と「映画」を同レヴェルで対比しているのは致命的だろう。単純に言えば、小説は独りで書けるが、映画を独りで作ることはできない*1。これについては、内田樹「ロラン・バルト」(in 難波江和英、内田樹現代思想のパフォーマンス』、p.128ff.)を取り敢えずは参照していただきたい*2

現代思想のパフォーマンス (光文社新書)

現代思想のパフォーマンス (光文社新書)

それはともかくとして、(小説が売れないにも拘わらず)「ライトノベル」は売れ続けているという。「ライトノベル」(「ラノベ」)というのがよくわからない。昔ジュニア小説とかジュヴナイルとか呼ばれていたのとどう違うのか。何故「ライト」(軽い)なのかとか。どうでもいいけれど。

*1:勿論、〈個人映画〉というのはある。しかし、彼が「映画」ということで念頭に置いているのは、けっして鈴木志郎康ジョナス・メカスではないだろう。

*2:著者性についての私の考え方については、http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070204/1170611496 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20050706 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070415/1176609189 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20100420/1271785873を参照されたい。著者であるということ(authorship)は敢えて責任を引き受けるということと関係があると考える。