夜郎

肖婷「另一種自大 50億重建“夜郎古国”」『東方早報』2010年10月18日


日本人が(語源も意識することなく)「夜郎自大」という語を使うのを聴いていると、何で中国の少数民族差別に加担するんだよと思うこともある。
その語源となった「夜郎」国の話。
古代西南地方にあった「夜郎」国については、司馬遷の『史記西南夷列伝』に記載されているが、「夜郎」の首府が何処にあったのかについては論が定まっていない。その争いは2003年以来激しくなっているという。湖南省新晃県は秦漢時代に「夜郎」の支配下にあり、唐代と宋代にはこの地に「夜郎県」が置かれた。そこで、新晃県は先日50億元を投じて「夜郎古国」の遺跡等を観光地として整備するプロジェクトを発表した。他方、貴州省側では、『史記』に現在の四川の合江から「夜郎」に入ったという記述があることを根拠に、「夜郎」の首府は貴州省の赤水、習水、桐梓(現在は遵義市に包摂)周辺でしかあり得ないと主張する。また、貴州省桐梓県には現に「夜郎鎮」という町が存在する。現在「渝黔高速鉄路」*1が建設中だが、鉄道部が「夜郎鎮」に「夜郎」という駅を設置することを決定したところ、湖南省側が異議を申し立てた。
また、誰が「夜郎」の主流民族だったのかというのも論が定まっていない。苗族、彝族、布依族、磷佬族がそれぞれ「学会」を立ち上げ、争っている。これは誰が貴州の先住民だったのかということにも関連する。
See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20101007/1286457491

*1:「渝」は重慶、「黔」は貴州。「高速鉄路」(高鉄)は中国版新幹線。