テルミット

小倉文三「9.11は、アメリカ政府の陰謀か?」http://www.janjanblog.com/archives/14273


この時期に9.11陰謀理論というのは俳句の季語のようなものなのか。
さて、9月4日に高知市の「自由民権記念館」で開かれたという「911の真実を求める日本の科学者の会」*1主催の「第1回目の検証集会」のレポート。この「日本の科学者の会」の発起人は戸田清(長崎大学環境社会学?)と西牟田祐二(京都大学、経済学)。無教養を晒してしまうが、西牟田祐二という人は知らなかった(経済学者としても陰謀理論家としても)。この日のスピーカーは西牟田氏だったという。
さて、


また、テルミットというアメリカのロスアラモス国立研究所などで開発された特殊な爆発物が存在し、それはアメリカ軍が厳しく管理しているという話があった。それは、アフガニスタンの洞窟などでは製造できない爆発物であり、酸化鉄とアルミニウムの粉末を混ぜ合わせることによって瞬間的に起爆する爆発物である。そのテルミットが、911の焼け跡の現場から発見されているのである。化学反応後のものも、化学反応前のものもである。
「テルミット」とは金属アルミニウムと金属酸化物の混合物に着火するすることによって金属酸化物を還元することであり、また金属アルミニウムと酸化鉄の混合物(粉末)を「テルミット」ということもある。たしかに、「酸化鉄とアルミニウムの粉末を混ぜ合わせることによって瞬間的に起爆する」のだが、「テルミット」それ自体は「アメリカ軍が厳しく管理している」というようなものではなく、合金の生成など工業用にけっこう広く使われており、何よりも簡便な溶接法として使われている。例えば、鉄道の線路敷設や保守のためのレールの溶接とか。兵器としても既に1980年代には日本の中核派が使用している。1990年代以降開発が進められたものとして、ナノテルミットというのがある。これはナノテクノロジーを応用したもので、金属アルミニウムと金属酸化物がたんなる微粒子ではなくナノ粒子だという特徴があり、普通のテルミットと比べて反応の強度は劇的に増大する。その「テルミットが、911の焼け跡の現場から発見されている」、「化学反応後のものも、化学反応前のものも」というが、ここを読んだだけで、思わず眉毛*2に唾をつけてしまう。だって、「テルミット」の特徴というのは、普通のにせよナノにせよ、一旦着火して還元反応が始まったら、それを止めることはできないということなのだ。「テルミット」だったら「化学反応前のもの」が残る筈はないのだ。まあ、ちょっと考えると、そもそも「化学反応前」の「テルミット」というのが意味不明ではあるのだが。
戸田清というのはカクマルと一緒に〈酒鬼薔薇陰謀論*3を展開していた人物。「テルミット」がJRで業務用に使われていることなどは、お友達でありその少なからぬメンバーがJRに巣食っているカクマルに訊けば直ぐにわかりそうなものだけれど。また、中核派が「テルミット」を使っているということも。但し、カクマル的な陰謀理論においては、中核派のゲリラとかテロというのは存在しないであった。それによれば、実行しているのは日本の国家権力の手の者であり、中核派というのは事後的にメディアに電話する係にすぎないことになっているのだが。