親の顔

http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20100906/1283806461でちょこっと言及したhttp://d.hatena.ne.jp/fujipon/20100904#p1に曰く、


もちろん、東教授とは「レベルが違う」のですが、僕のような「赤点医師」でも、専門学校の講師や大学の講義の手伝いを頼まれることがあります(正確には「頼まれたことがある」と過去形ですが)。

 そんななかで、僕がいちばん意識せざるをえなかったのは、「いかにして、試験で生徒を落とさないか」だったのです。

 いや、優しいからというわけじゃなくって、臨床の片手間にやる講義や過去問を少し改変したくらいの試験問題で、生徒を「不合格にする」のは、すごく怖かったのです。

 真面目な話、僕が教えている内容が、そこまで大事なものなのか、自分でも全く自信がありませんでしたし。

 そこは、「先生は自信を持って自分の専門を教え、学生も自ら選択して学びにきている超一流大学」とは根本的に違うのでしょう。

 それでもやはり、「教える側」に立つと、「学生を不合格にする」というのは大きなストレスでした。

 もしこれで留年してしまったら、この子の人生、(たぶん良くないほうに)変わってしまうかもしれないのだから。

専任・非常勤を含め何人かの人に聞いたのは、学生だけならともかく親の顔を想像してしまうと、気軽に落とすのは忍び難くなるということだった。出来の悪い奴は留年させればいいとはいっても、基本的にその決して安くはない学費は親が払っているわけで、そういう親を想像すると、気は重くなる。この母親はこいつを大学にやるために好きな洋服も買わないで、早朝から弁当工場でパートをしているんじゃないかとか。ということで、大学が無償化されると、単位をクールに落とす先生も増えるのではないか。