PとS

http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20100819/1282231602に対してコメントをいただく;


matsuiism 中井久夫氏はよく、paradigmatic とsyntagmatic とを対にして使っていたが。 2010/08/20
http://b.hatena.ne.jp/matsuiism/20100820#bookmark-24217609
これはソシュール言語学に由来する概念です。手許にまともな参考書がないので、岡田清鷹という方の丸山圭三郎ソシュールの思想』からの抜書き*1や自分の記憶に頼って、いい加減に書いてみる。ソシュールは語と語の関係を連辞関係(rapport syntagmatique)と連合関係(rapport associatif)に区別した。連合関係は後にルイス・イェルムスレウ(Louis Hjelmslev)によって範例関係(rapport paradigmatique)と言い換えられた。


I/You/He/She

loved/hated/hit/bit

a girl/a boy/a dog/a dragon


↓で示した縦の流れが連辞関係、スラッシュで示した横の流れが範例関係といっていいだろう。また、ローマン・ヤコブソンはこれを修辞学的に転換して、範例関係を隠喩(metaphor)、連辞関係を換喩(metonymy)に結びつける(『一般言語学』。また、ロラン・バルトの「記号学原理」も参照のこと)*2

一般言語学

一般言語学

零度のエクリチュール

零度のエクリチュール

また、


中川正弘「文法におけるパラディグムの諸相」『広島大学留学生センター紀要』1、1991、pp.49-61
http://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/metadb/up/kiyo/AN10281005/Hiroshima-IntStudentCenter-kiyo_1_49.pdf


をマークしておく。
あと、最近のソシュール入門書で俺が読んだものといえば、町田健ソシュール言語学』、『コトバの謎解き ソシュール入門』とか。

ソシュールと言語学 (講談社現代新書)

ソシュールと言語学 (講談社現代新書)

コトバの謎解き ソシュール入門 (光文社新書)

コトバの謎解き ソシュール入門 (光文社新書)