「亀卜」

『読売』の記事;


「亀卜」、由緒ある日本の占いです

 古来、日本に伝わる亀の甲羅を使った占い「亀卜(きぼく)」。


 大阪府立大大学院客員研究員の辻尾榮市さん(60)(大阪府箕面市)は、江戸時代に亀卜について書かれた書物を約10年かけて翻刻、考察し、研究書「『對馬國卜部龜卜之次第(つしまこくうらべきぼくのしだい)』攷(こう)」にまとめた。

 亀卜は、亀の甲羅に火をあて、できたひび割れで占う。古代、中国から伝わったとみられる。辻尾さんが研究した書物「對馬國卜部龜卜之次第」は対馬長崎県対馬市)の神職が、口伝だった亀卜の作法を書き記したもの。関西学院大図書館の蔵書にあるのを知り、「宮廷の占いに通じる貴重な史料だが、これまで未整理、未解明だった」ため、研究に取り組んだ。

 その結果、この書物が戦前を代表する東洋史学者、内藤湖南の蔵書で、それ以前、日露戦争時の首相、桂太郎が所蔵していた可能性があることを突き止めた。題名が少しずつ異なる写本が12点あることもわかり、それらを翻刻し、出土した亀卜や鹿の骨を使った「骨卜(こつぼく)」の考古資料の一覧表などもつけた。

 辻尾さんは大阪市立大大学院修了後、郵政省に勤務。その傍ら1970年、「郵政考古学会」を設立するなど考古学研究を続け、亀卜研究もその一環。「大変な作業で、研究はまだ途中だが、60歳になった区切りに、これまでの成果を刊行することにした。研究史料として生かしてもらえれば」と話している。

 本文編と史料編があり、A4判、計1036ページ。問い合わせは、〒530・8692 大阪中央郵便局私書箱127号、地域歴史民俗考古研究所。
(2010年8月10日12時40分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/culture/news/20100810-OYT1T00218.htm

亀裂という言葉もあるが。
「亀卜」というのは一度だけ見たことがある。NHKの某番組で、阿辻哲次先生が甲骨文字を解説するときに、亀の甲羅に焼き鏝を突き刺して「亀卜」の実演をしていた。そのときは、「亀卜」というのはけっこう力が要るものだなと思ったのだが。
桂太郎内藤湖南関西学院大学という書物のオーナーの移り変わりは、「考古学」というよりも書誌学的に興味深いのでは?