日曜日は蘭心大劇院にて「慶世博中日戯劇大師匯演」の最終日。この日は、楊貴妃というネタを能楽、京劇、歌舞伎で上演。能「楊貴妃」、京劇「貴妃酔酒」、歌舞伎「楊貴妃」。
能「楊貴妃」は楊貴妃が隠れる作り物の効果が素晴らしく、また楊貴妃を演じる齢80のシテの関根祥六先生の舞は幽玄と呼ぶしかない。また、この曲ではワキ(方士)の役割も重要であり、ワキの森常好の演技もよかった。京劇「貴妃酔酒」で楊貴妃を演じるのは梅蘭芳の息子である梅葆玖。能の「楊貴妃」が幽界の死せる楊貴妃を描くのに対し、こちらは現世の楊貴妃。齢77の梅葆玖は華やかさと倦怠と翳りが入り混じった複雑な雰囲気を表現している。また、2人の道化役(宦官の高力士と裴力士)が面白い。最後は歌舞伎「楊貴妃」(中文版)。これはそもそも夢枕獏が金春禅竹の能をベースに台本を書いたものを、新飛が中国語したもの。浄瑠璃を背景に舞う楊貴妃(坂東玉三郎)が素晴らしいことは言うまでもないが、感心したのは中国語による浄瑠璃。また、中国の楽器を使っているのだが、やはり紛れもなく歌舞伎の音楽なのだ。