コンセプト・アルバム - Living, Loving, Thinking, Again

Robert Booth “Pink Floyd score victory for the concept album in court battle over ringtones” http://www.guardian.co.uk/music/2010/mar/11/pink-floyd-court-victory-emi-downloads-ringtones

生存しているピンク・フロイドのメンバー、ロジャー・ウォーターズ、デイヴ・ギルモア、ニック・メイソンはEMIに対して、コンセプト・アルバムから曲をばらでダウンロードさせるなという訴訟を起こしていたが、このほど裁判所はPF側の「藝術的インテグリティ」保持の訴えを認め、これによってEMIはピンク・フロイドの曲を単体としてダウンロードさせたり、ケータイの着メロとして使用させることはできなくなる。但し、アルバム全体としてのダウンロードは可能である。ピンク・フロイドとEMIとの契約は1999年に更新されたが、そこでは具体的にはCDとDVDについてのみ言及されており、（その頃はまだダウンロード市場が開かれていなかったので）オンライン・ダウンロードについての言及はなかった。しかし、ピンク・フロイド側は、ばらでのダウンロードがその契約の中の「歌を文脈を外して売ること（selling songs out of context）」を「明確に禁止する（expressly prohibits）」条項に違反しているとして、訴訟を起こしていた。
記事ではばらでのダウンロードが禁止されるのはどのアルバムなのかという言及はない。ピンク・フロイドの全てのアルバムなのだろうか。ただ、明確にコンセプト・アルバムといえるのは、The Dark Side of the Moon、Wish You Were Here、Animals、The Wallであり*1、それ以前のアルバムはコンセプト・アルバムとはいえないと思うのだが、どうだろうか。初期の作品については、アルバムという「文脈から外れた」ベスト・アルバムも既に現役時代に出ている。この決定はオンライン・ダウンロードだけではなく、レコード会社側が勝手にベスト盤やコンピレーション盤をつくるということを抑止することにはなるとは思う。コンセプト・アルバムといえば、（会社は違うが）ELPの『展覧会の絵（Pictures at the Exhibition）』はどうなるのか。