アートかスポーツか、など

少し前に城内実のblogがヴァンクーヴァー・オリンピックのフィギュア・スケート(金研児vs. 浅田真央)を巡って炎上したという。
プロ城内もアンチ城内もフィギュア・スケートがスポーツだという前提で論じていたように思うが、(少なくとも俺は)それがスポーツなのかアートなのかという疑問はあり、その問題はもう少し真剣に考えられてもいいのではないかと思っている。どちらにせよ、高度な技術と体力が要求されるフィギュア・スケートは、その結果をスケーターが自己責任的に引き受けるものなのだろうが、他方において、振り付けや衣裳のデザインも含めた綜合的なプロデュース能力、さらに言ってしまえば、スケーターが所属する国の文化資本が顕わにされるという側面もあるのではないか*1。また、フィギュアの技の基本がクラシック・バレエにあり、アイス・ダンスの場合は社交ダンスにあるように、文化のその他の分野との連続性・非連続性という問題も関係しているだろう。
フィギュアのペア、何故男/女でなければいけないのか。男/男(『俺たちフィギュアスケーター*2!?)や女/女では何故いけないのか。まあ、女/女の場合、フィギュアの〈華〉のひとつであろうリフティングに困難が生ずるということはあるかもしれないが、それならば別の〈華〉をつくり出せばいいということになる。あと、バレエに擬えれば、ソロとペアのほかに、ラインとしての美しさを競うフィギュア団体というのがあってもいいと思う。

俺たちフィギュアスケーター [DVD]

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*1:バレエでは照明が重要な役割を果たすけれど、スポーツとしてのフィギュア・スケートでは照明を工夫することができないので、より直接的に身体がクローズ・アップされるといえるだろう。

*2:See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080210/1202629732