それにしても赤本は美しい

http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20091229/1262082874に対して、幾つかブックマークをいただく。その中で、


iteau 政治 邦夫は総理ではないでしょうに。やったことが同じでも総理ならばより強く非難されるのは当然。由紀夫を批判したら自動的に邦夫やら安倍も批判しないといけないの?(笑う)。端的に言ってゲスの発想です。 2009/12/31
http://b.hatena.ne.jp/iteau/20091231#bookmark-18244485

tesserac これはひどい, 14へ進め ばかか?ただの国会議員と首相じゃ責任のおもさがちがうんだよ。 2010/01/01
http://b.hatena.ne.jp/tesserac/20100101#bookmark-18244485
ああいう書き方を読めば、例えば母を同じくする鳩山邦夫、或いは同じく〈母親の強い影響〉が云々されていた安倍晋三も同じロジックで切れるんとちゃうか、と疑問が湧くのはきわめて自然な流れなんじゃないの? そういう話。そういう素朴な疑問を何故封印しなければいけないのか。「ゲスの発想」としては、そこに何らかの党派性というかイデオロギー的拘束を指摘してもいいのだろうけど、それはあまり面白い話ではない。
「ただの国会議員と首相じゃ責任のおもさがちがうんだよ」。そりゃそうだ。ただ、以下のように考えることもできる。与党であろうが野党であろうが、首相(経験者)であろうがぺーぺーの新人議員であろうが、有権者によって選挙を通じて選出された議員としての権威と責任は同じであるべきだ、と。
ところで、ユンクを使って何かを論じるというのは、ときには例えばル・グイン*1の『ゲド戦記』に話を脱線させながら、「影」とか「原型」といったユンク用語を華麗に散りばめながら論を進めていく藝を見せるということだろう。遺憾ながら、あの『産経』の紹介文からはそういうところは感じ取れない。たんなる政治プロパガンダ文書として紹介したわけだ。勿論、『正論』に掲載されたとかいう原文ではそういう藝が満載なのかもしれないけど。ユンク・ファンとかの反応ってどうなのだろうか。
さて、ユンクなんか大嫌ぇと書いたのだけど、昨年秋に刊行されて、英語圏では去年のクリスマス・プレゼントのマスト・アイテムともなったというユンクのThe Red Bookはほんとうに美しい本だ。私もほしい、できればお誕生日のプレゼントとして。
The Red Bookのスライド・ショーは、


http://www.guardian.co.uk/books/gallery/2009/oct/16/1
http://www.nytimes.com/slideshow/2009/12/11/arts/20091212-jung_index.html


See also

KATHRYN HARRISON “The Symbologist” http://www.nytimes.com/2009/12/06/books/review/Harrison-t.html
MOTOKO RICH “Dreamy Sales of Jung Book Stir Analysis” http://www.nytimes.com/2009/12/25/books/25jung.html