『試身室』

多倫路の奥沙藝術空間*1に、石家豪(Wilson Shieh)『試身室(Fitting Room)』 *2を観に行く。
石家豪の作品は〈中華浮世絵〉であるとも言える。東洲斎写楽が歌舞伎役者を描いたように、周潤發や張曼玉テレサ・テンを描く。但し、『試身室(Fitting Room)』というタイトル通り、着せ替え人形という趣向で、内面/外面、ヌード/衣裳、自我/役割、リアル/フィクションといった対立と戯れている。また、張愛玲*3がその小説のヒロインたちのコスプレをするという「張愛玲與她的人物角色(Eileen Chang and Her Characters)」では作家/作品という対立が戯れの対象となっている。京都在住の彫り師、北村昭一と協働した『音楽家庭(Music Families)』のシリーズも展示されている。楽器=身体というメタファーはベタといえばベタだが、例えば小川洋子『やさしい訴え』とかは思い出す。

やさしい訴え (文春文庫)

やさしい訴え (文春文庫)

See also 木草草「石家豪的明星浮世絵」『TimeOut上海』2009年12月号

地下鉄を乗り継ぎ、徐家匯に戻って、港匯広場のColabo Deli*4で食事。