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『さくらな人たち』。役者オダギリジョーが小田切譲として監督した中篇。監督だけでなく、脚本、撮影、編輯、音楽も小田切による。映像に関しては、特に伏線の張り方など、愉しめるところが多々ある。しかし、そのストーリー、その結末に寄り添っていくのはちょっと難しかった。〈幻の桜〉を求めて、剛史(河本準一)とタクシー運転手(河原さぶ)がパンチ・パーマのボクサー、山田浩を巻き込みつつ、群馬県を疾走する。年齢も全然違う男たちが偶然に出会って旅をする。ただ、その結末では、3人は(矢沢永吉の曲に合わせて)全裸で踊り戯れる。その結果、劇場で一般公開された映画としては、男性局部の露出時間がいちばん長い映画となった。この映画では、女性は(主要な登場人物としては)排除されているのだが、これって、男たちの間で相互の距離が消失し、言語によるコミュニケーションも不用になる〈究極の裸のつきあい〉、ホモ・ソーシャルの極なのでは? やはり、部活的なノリの延長としての〈究極の裸のつきあい〉には入り込めない*1。但し、小田切譲による音楽は破壊的で、よかった。
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無知を告白すると、今までロメールのこの作品を知らなかったのだが、『友だちの恋人』撮影延長の副産物だったのか*2。ロメールといえば、より最近の『グレースと公爵』に言及しておく。技術的な側面では油絵と実写との合成が話題になった筈だが、仏蘭西革命を背景にスコットランド人女性、グレース・エリオットとオルレアン公フィリップとの関係を描く。ふたりは元愛人同士。また彼女は王党派で、彼は革命派。男女間の恋愛関係・性愛関係を離れた友情の可能性、政治的スタンスを異にした者同士の、一致なき対話の継続の可能性が描かれているといっていい。後者は公共性の端緒と重なる。勿論、映画において(そして歴史的現実において)、その端緒は革命によって誕生した〈大規模なホモ・ソーシャル〉としてのナショナリズムや民主主義によって圧殺されてしまうのだが。
友だちの恋人/風景の変貌 (エリック・ロメール コレクション) [DVD]
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*1:某女性曰く、オダギリジョーの裸は見たかったけれど、ああいう醜男たちの裸は見たくなかった。
*2:この映画については例えばhttp://blog.livedoor.jp/hatteria/archives/50731893.htmlとか。