『エクザイル/絆』

エグザイル/絆 スタンダード・エディション [DVD]

エグザイル/絆 スタンダード・エディション [DVD]

先日、杜蒞峰(Johnnie To)の『放逐(Exiled)』を観た。ここで描かれているのは、必然的且つ偶然的に*1死へと突き進む黄秋生を初めとする5人組の約48時間の濃厚な生である。なお、彼らの死によって、1人の女、1人の赤ん坊の生存が保証されることになる。舞台を(狭すぎて逃げ出すことができない)澳門に設定したことが映画の緊迫感を増大させている。台詞による表現が極力抑制され、感情表現は主に動作や表現によってなされるため、観る側はワン・カット、ワン・カット、気を抜くことができない。反復される出来事で印象が強かったのは、やはり常に流れて行ってしまう現在を固定し・物質化するテクノロジーとしての写真。また、自動車のエンコという出来事も反復されるが、これはどういう意味を持つのか。さらに、この映画では空罐でさえ演技するということができる。
また、香港映画の日本でのタイトルはアレなことが多いのだが、この『エクザイル/絆』というのはいいタイトルだと思う。

*1:何しろ、登場人物たちの重要な行動はコインの裏表によって決められるのだから。