http://plaza.rakuten.co.jp/kngti/diary/200908180000/を読んで、地震の古語である「なゐ」を『広辞苑』で引いてみた。「な」は「土地」、「ゐ」は「場所またはそのものの存在を明らかにする」という意味*1。だとしたら、地震とは大地が大地として自らの存在を露呈されることではないか*2。
また、大林太良『神話の話』が援用され、地震神話の類型が示されている。その中の「世界魚が動くと地震がおきる」というのは、日本の場合、鯰であって、それを封じ込めるために常陸の鹿島神宮には要石があるが、鹿島大明神がどこかへ出張したりすると(例えば神無月)、鯰が動き出すのだという。アウエハントの『鯰絵』*3は幕末の鯰絵に言及しているが、安政の大地震で膨大な被害が出たにも拘わらず、鯰絵の鯰は凶悪な存在ではなく、寧ろ人民に小判を分配する救世主的な存在として描かれている。地震と鯰を巡るコスモロジーについてはアウエハントの大著を読んでいただくとして、当時の江戸っ子には建築関係の非正規労働者が多かったということは関係がある。それから、「男女の神あるいは精霊が性交すると地震がおきる」については、或る電波ネタを知っている。阪神淡路大地震直後に知ったのだが、当時これはトンデモ度が高すぎというか、いくら何でも不謹慎だろうと思って、10年以上も誰にも話していなかった。今回公表しちゃおうかなと一瞬思ったが、やはり10年後にする。
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*1:居るに通じるか?
*2:以前読んだ西郷信綱『日本の古代語を探る』(See http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20050820)を久しぶりに捲ってみたが、地震或いは「なゐ」への言及はなし。ただ、大地に対する古代的な感覚を理解するには、特に所収の「木は大地の毛であった」、「石の魂」をお勧めしたい。
*3:See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070202/1170441629