『東医宝鑑』

顧維華「《東医宝鑑》申遺 “中医”如此這般成“韓医”」『東方早報』2009年8月13日


韓国政府は、7月31日に、ユネスコに対して、1596年に編纂された医学書東医宝鑑』を「世界の記憶(Memory of the World)」*1として申請した。申請によれば、『東医宝鑑』において、中国医学から独立した「韓医」が成立したという。韓国内でも、「韓国医師協会」は、『東医宝鑑』には現代の常識とはかけ離れた迷信的な部分もあり、『東医宝鑑』の「世界の記憶」申請が成功したとしてもそれは韓国医学が世界的に承認されることを意味しないという態度を取っている。しかし、韓国では『東医宝鑑』でかなり盛り上がっているようで、9月には「韓国国立中央図書館」で『東医宝鑑』の企画展が開催され、「保健福祉家庭部」では2013年に『東医宝鑑』発行400周年を記念して、「国際韓医博覧会」開催を計画している。中国側の反応としては、上海中医薬大学教授の何裕民氏が『東医宝鑑』は中国医学の祖述であって、オリジナリティはないと述べているように、韓国側の歴史的無知やエスノセントリズムを批判する傾向が強い。
「世界の記憶(Memory of the World)」については、


安江明夫「「世界の記憶」:ユネスコの新規プログラム」『カレントアウェアネス』No.173、1994
http://current.ndl.go.jp/ca918


を参照のこと。
また、「世界遺産」を巡る韓国・中国の確執については、http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060602/1149270191 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080606/1212716967 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080821/1219323529も参照のこと。

*1:「世界記録遺産」とも。中国語では「世界記憶遺産」。