時代小説/SF小説(メモ)

http://d.hatena.ne.jp/jun-jun1965/20090730


小谷野敦氏は「時代小説」が嫌いだということを知る。私も池波正太郎以外は積極的に読みたいとは思わない。ところで、このエントリーに対して、


Midas 時代小説は歴史でなくタイムトラベルSF(例・戦国自衛隊)の亜種。登場人物のメンタリティが全くの現代人。所謂外人小説もこの構造の踏襲。「過去(異国)にも我々と同じ人々がいた(る)んだ」はイデオロギー操作の基本 2009/07/30
http://b.hatena.ne.jp/Midas/20090730#bookmark-15007476
というコメントあり。これには動物小説を付け加えるべきだろう。また、時代小説或いは歴史小説がSFの一種だと最初に喝破したのは筒井康隆(『乱調文学大辞典』)ではなかったか。
乱調文学大辞典 (講談社文庫 つ 1-3)

乱調文学大辞典 (講談社文庫 つ 1-3)

時代小説(歴史小説)はたしかに「登場人物のメンタリティ」を「現代人」化することにおいて存立するが、司馬遼太郎などではそれが自覚的(確信犯的)に行われていたのに、それ以降の世代ではその自覚もなくなったということか。歴史(過去の人物)を小説化することのディレンマを巡る省察として、国学者で読本作者の建部綾足*1を巡るメタ歴史小説といえる長部日出雄『未完反語派』をマークしておく。
未完反語派 (福武文庫)

未完反語派 (福武文庫)

また、より一般的な準位でいえば、これは方法/実在問題*2、他者の構成問題*3のヴァリエーションであるとはいえるだろう。