法学部

佐藤啓*1「本の交換依頼」『未来』512、pp.16-17、2009



書店員となって10年近く、なんとなく増えていると感じていることに、本の交換依頼があります。数日前に間違った本を買ってしまったので取り替えてほしい、といったお客様からの申し出です。正確な件数のデータをとったわけでもないので、あくまでも主観なのですが。(p.16)

さらにひどいことも。とうじ勤務していた店舗は大学が近くにありました。法学部もあり、六法もよく売れていました。
ある時期から、正確には大学での定期テストの時期から、六法の返金依頼が続いたことがありました。お客様はもちろん大学生の方です。どうも、六法を持ち込みできるテストの時に、当店で六法を購入、テストで使用して、終わったら店に返金要求、というのが一部の学生のあいだで広まっていたようです。当然、店側では返金は拒否、1時間ぐらい前のレシートをお持ちであっても、何件か拒否の姿勢をみせていたら、六法の返金要求はなくなってきました。学生間で話が広まるのが早かったのでしょうか、あくまで推測ですが。
ただし、この六法騒ぎのさい、1件だけ私が返金要求を受けてしまったものがありました。店員に特定の六法を尋ねて渡してもらったが、それが全然違う物だった、よそで正しい品を買ったから返金してほしい、とのお客様からの申し出、いえクレームでした。レシートの日時は2時間ほど前。当時管理職の人間が手が塞がっており、自分で対応しました。お客様にはお詫びをして返金、商品自体も使用感がないように感じられたので、店頭に戻しました。
ところが数日後、別のクレームが。購入した六法に書き込みがあった、とのこと。そのお客様は直接店に、問題の商品をもってこられたので拝見すると、先日の返金依頼のときの六法と同種の物(返金を受けた六法そのものかは、さすがにわかりませんでしたが)。あまり想像したくない。ですが、テストで活用して、書き込みまでした六法をあの学生さんは返金してくれと言ってきたのでしょうか。とにかく、そのお客様には平謝り、後で店長にも怒られてと、新人の頃の思い出したくない記憶のひとつになっています。(pp.16-17)
「交換依頼」というのは1度したことがあるけど、それは上下2冊本の上を2冊買ってしまったため。

*1:「東京旭屋書店池袋店」に勤務している人。