m/nそれからn/ng(メモ)

http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090509/1241849350へのコメント欄にて、


韓国語はあまりわかりませんが、中国語の“n”と“ng”みたいなものでしょうか。
日本語の音読みで「○○ん」のものは“-n”(例えば「南」は“nan”)、「○○+あ行」のものは“-ng”(例えば「上」は“shang”)だと何かで読みましたが、それと似ていますね。
現在マンダリンでn、日本語で「ん」で終わる漢字は隋唐の時代まではmで終わっていたといわれます。マンダリンではこのmはすべてnに置き換わっていますが、漢語の南方方言、客家語、福建語(台湾語)、広東語などではこのmがまだ保存されています。また、マンダリンでは促音(入声)も失われていますが、南方方言では保存されている。例えば、葉はマンダリンではye、広東語ではyip。中国語以外では、ヴェトナム語や韓国語に古代的なmや入声が保存されているのではないかと思います。
たしかに、「日本語の音読みで「○○ん」のもの」は漢語でもやはりnで終わるのですが、で終わる漢字については微妙なんじゃないかしら。現代仮名遣いではなく、歴史的仮名遣い(字音仮名遣い)を参照すると、キャウ、キョウ、ギャウ、ギョウ、シャウ、ショウ、ジャウ、ジョウ、チャウ、チョウ、ヂャウ、ヂョウは、angかingかengかongかはともかくとして、マンダリンのngに対応するでしょう。その他のに関しては、とにかくn以外ということで、高(gao)や老(lao)や毛(mao)というふうにaoに対応することもある。ただ、歴史的仮名遣いで母音がエウと表記される漢字はマンダリンでの発音がaoになるということはいえるのではないか。小(セウ/xiao)、校(ケウ/jiao)、調(テウ/tiao)、要(エウ/yao)など。
それから、日本語では漢語のn/ngの区別も消失しているわけですが、中国語の方言でも上海語などの東部方言ではその区別が消えています。
日本語の場合、ngやmがないというのではなく、状況によってそのように変化するとはいえるでしょう。例えば、


日本(nihon)
日本橋(nihom-bashi)

言(gen)
言語(geng-go)


など。
また、関東の中上流階級の言葉ではgがngになりますね(鼻濁音)。