「中華思想」(メモ)

http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090227/1235717116に関連して?
星野博美『謝々!チャイニーズ』から少し抜き書き;


壁が崩壊したベルリンには、混乱に乗じてドイツに入国した中国人が急激に増え始めていた。特にそれまで西と比べて閑散としていた東ベルリンには、みるみる中華レストランが立ち並び、その行動の速さには驚いた。中に入れば、ドイツ語もまだ喋れない給仕が、同郷の人間に会ったように嬉しそうに中国語で話しかけてくる。屋台で焼きそばを食べようと思って並んでいると、私を中国人だと思い込んだ店の主人が、にこにこ笑いながら周囲のドイツ人の二倍くらいの量のそばを盛ってくれる。
同じ街の日本料理屋で、私と目が合うと見てはならないものを見てしまったように視線をそらす日本人とは、比べものならないほどの温かさだった。
東洋人を見るとその人物がアジアのどの地域出身者であるかを探り、自分の同胞でないとわかると見下すくせに、同胞だとわかれば殊更に拒否する、排他的な近親憎悪の日本人。東洋人はとりあえず中国人と見なし、同胞として迎えようとする中華思想の中国人。
私はそんな中国人の、極めて中華的であるが故の包容力が案外気に入った。そしてその温かさが忘れられず、どの街に行っても、気がつくと中国人がいそうなエリアに足を運んでいた。(p.8)
謝々(シエシエ)!チャイニーズ (文春文庫)

謝々(シエシエ)!チャイニーズ (文春文庫)

その反面というか、Cecilia Chiangへのインタヴュー*1。彼女は上海郊外の生まれ。

The people in Chinatown were virtually all Cantonese, including all the supermarket owners and, at that time, the Cantonese only imported what they ate. I couldn’t even get sesame paste! Also, when I first came to America, I could not understand Cantonese, so they considered me an outsider. When I went shopping for groceries, they refused to give me credit. I was very angry, but there was nowhere else to go. (p.15)
広東料理では胡椒を使わない?