承前*1
小倉秀夫氏*2がWikipediaを引いて示しているところによると、capitalismという言葉を最初に使ったのは(あの『虚栄の市』や『バリー・リンドン』の)William Makepeace Thackerayで、1854年のことだということになる(典拠はOED)。とすると、『資本論』に1回だけ登場するKapitalismusという言葉については、マルクスはテクニカル・タームとしてはkapitalistische Produktionsweiseを使用していたが、市井に流通していたcapitalismを独訳してKapitalismusという言葉を使うことも偶にはあったということでしょうか。サッカレーは売れっ子の作家だったわけだが、例えば現代において村上春樹なんて読んだこともないという人でも「やれやれ」とか「そういうものだ」という言葉を使ってしまうことがあるように、人々の言葉遣いに対してはそれなりに影響力が強かったのだろうか。