反ヴァレンタイン@India

ヴァレンタインについてはhttp://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070215/1171506159でも触れた。
上海では春節が一段落した辺りから店のディスプレイがヴァレンタイン用になり、土曜日でもあった情人節はいつもの年と同様に、花売りが街中に溢れ返っていた。
さて、『読売』の記事;


バレンタインデー粉砕!ヒンズー教過激派の予告相次ぐ


 【ニューデリー=永田和男】インド各地で、14日のバレンタインデーに反対するヒンズー至上主義勢力の動向に警戒が強まっている。

 「粉砕」を公然と予告する過激派が相次いでおり、街はバレンタイン商戦の華やかな雰囲気と緊張感が入り交じっている。

 ニューデリー北部にあるデリー大学前のギフトショップは、14日を前にチョコレートやぬいぐるみを求める女子大生らで大にぎわいだ。インドの都市部ではここ数年、バレンタインデーに恋人や友人、家族とのプレゼント交換や、レストランで食事をする習慣が急速に広まり、各業界もセールに力を入れている。

 買い物中のシルパさん(23)は、「今は彼氏はいないけど、友達と過ごす大切な日」と心待ちの様子だった。

 だが、報道によると、ニューデリー市警は映画館やレストランなど“デートスポット”の巡回を増強し、バレンタインデーを楽しむ若者を巻き込む騒動の防止に懸命だ。

 警察が恐れているのは、南部の都市マンガロールで1月末に起きた事件の再現だ。「ラーマ神軍団」を名乗るヒンズー過激派約30人がパブに押し入り、客の女子大生らを殴ったり、髪をつかんで引きずり回したりした。この映像はテレビで繰り返し放映され、全国的に物議を醸した。

 逮捕後、すぐに保釈された「軍団」の指導者は、次は「バレンタインデーを祝う者を見たら制裁を加える」と宣言した。これに呼応するように、ムンバイや東部オリッサ州など各地で、ヒンズー過激派やイスラム系組織までが、続々と「バレンタインデー粉砕」の声明を出している。

 女性の外出やオープンな男女交際を敵視し、暴力も辞さない過激派の言動には、有力紙の社説や女性閣僚から、「(アフガニスタンイスラム原理主義勢力)タリバンと同じだ」との非難が相次いでいる。

 しかし、ヒンズー至上主義団体の一つ、「全インド学生連合」ニューデリー支部長のラケシュ・シャルマ氏(34)は「バレンタインデーのような風習が自己中心の欧米的思考を広め、家族中心のインドの伝統を破壊する」と譲らない。

 与野党双方の政治家からも、「女性がパブなどに行くのは、インド文化に合致すると言えない」といった過激派の論理に理解を示す発言が出ており、女性に貞節を求め、自由な男女交際を認めない圧力が根強いことをうかがわせる。

 こうした騒ぎに、デリー大生のスニル君(23)は、「バレンタインデーを祝うのは、インドが変わりつつあるのと、それが何も悪いことでないことを実感したいから」と涼しい顔。14日はガールフレンドと平穏に過ごせるよう祈っている。

(2009年2月12日19時22分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20090212-OYT1T00820.htm

これは12日付けの記事だが、印度のカップルたちは無事にヴァレンタインを迎えることができたのだろうか。
中国的な文化ナショナリズムからすれば、中国人だったら七夕だろうということになるのだろうけど、「七夕」も英語で表せばChinese Valentine’s Dayとなってしまうのは*1いやはや。
なお、印度のヒンドゥー原理主義に関しては、http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080909/1220932179でも言及した。