http://d.hatena.ne.jp/ohnosakiko/20090124/1232795786
アートや文系の学問で食べていくというのは昔から難しいわけだが。
上の大野さんのエントリーで触れられていないのは商品としてのアートを実際に流通させている画商(ディーラー)の存在だろう。新しい才能を発見・育成し、それを市場に紹介して、自分も儲けるというのがディーラーの役割といえるだろう。北京の「中央美術学院」を紹介したNYTの記事*1には、中国でも米国でもディーラーによる院生レヴェルのアーティストの青田刈りが盛んだということも書かれていたが、日本ではどうなのだろうか。
株式投資でも大企業に投資するよりも新興のヴェンチャー企業に投資した方が収益性が高いように、アートへの投資の場合でも、既にメジャーになったアーティスト、大家の先生に投資するよりも無名の新人に投資した方が(リスクは少々高いかも知れないが)収益性が高い。勿論、それは市場の表情、特にコレクターのテイストに大きく依存しているわけで、コレクターの(さらに言えば、批評家やアートのファン)テイストが保守化していれば、それに応じて、熟していないが斬新な新人の作品への需要は減り、手堅く安定した大家の作品ばかり人気を博するということになる。そうすれば、新人アーティストに投資することは収益性のうまみが消えて、高リスクだけが際立ってしまう。また、(多分現在はそうなのだろうけど)経済一般の影響でアート市場そのものが萎み気味の状況では、商売人(ディーラー)の投資戦略それ自体が保守化することも間違いない。
ところで、バブル期に日本の大学を卒業し・日本の画廊に入社して修行した中国人の某画商が話していたのだが、バブル時代の日本においては、コレクターや画商の金は既に有名な海外のアーティストの作品に専ら注ぎ込まれ、日本の若手のアーティストに投資して、その人たちを育成していくということはあまりなされなかったという。多分、不況の現在においてや。