高山杉「現象学家倪梁康訳注唯識論典」『上海書評』2009年1月11日
現象学の立場から唯識論を研究している方としては、不勉強な私としては、司馬春英氏(「反省から自覚へ」in 『自己意識の現象学』*1、また「現象学と大乗仏教」[『思想』916、2000])くらいしか知らない。
上の記事を読んで、中国の現象学者である倪梁康*2氏が『八識規矩頌』の注釈本を出していることを知る;
倪梁康『新訳 八識規矩頌』台北三民書局、2005
『八識規矩頌』は、「相伝玄奘法師所造、但唐宋人著作中未見引用、直到元朝普泰法師才将它突然発掘出来、併為其作《補注》」であるが、「法相唯識学第一入門書」であるという。全80頁のこの本は、「導読」、「新訳」、「参考引用文献」の3部からなるが、評者はこの現象学者の唯識解釈にはかなり批判的なコメントをしている。また、「参考引用文献」は「粗糙」であるという。
唯識を研究する現象学者として国際的に知名な人は瑞西のIso Kernであるが、上記の書評によれば、Iso Kernは南京大学に留学し、玄奘の研究家である田光烈に師事し、唯識と「宋明心学」を研究した。彼の漢名は「耿寧」。
*1:See http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070204/1170524340 自己意識の現象学―生命と知をめぐって (SEKAISHISO SEMINAR)
*2:See http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20061231/1167530663 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070613/1181710159 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20071016/1192539212 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080613/1213324521 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20081127/1227798456