『ハザード』

園子温監督の『ハザード』を観る。
物語としては、昔ながらの〈通過儀礼〉の話だろう。つまり、一人前になるためには共同体の外に赴き、生死の境目を彷徨わなければならない。例えば、〈桃太郎〉にしてもそういう話だ。オダギリジョー演じるシンは大学生で、日本での安穏とした大学生活にアンニュイな感じを抱いており、常にどこか外に飛び出したいと妄想している。それで、思い立ち、大学も彼女も捨てて、〈危険(hazard)〉を求めて、単身紐育に乗り込む。着いて早々、黒人に荷物を剥ぎ取られ、〈危険(hazard)〉の洗礼を受けるのだが、やがてリー(ジェイ・ウェスト)とそのツレのタケダ(深水元基)と出逢い、さらに3人でせこい強盗とかの危険なことを行っていく。そのうちに、英語も上達し、度胸も付いてくるが、やがてギャングのボス筋とつるんだ警察によって、タケダは射殺され、リーはムショに送られる。一方、シンは身一つで日本に帰国したが、以前とは見違えるほど強くなっており、その強さによって、渋谷のギャングどもをびびらせる。そういう話だ。
だから、感想としてはシン君、強くなってよかったね、ということなのだが*1、紐育での、素人を使った、長回しの手持ちカメラでの映像は全面的にかっこいい。ただ、あの子どもの声によるナレーションは不快だ。イノセントぶっているつもりかよ*2。また、この映画は髪の毛の短いオダギリジョーということでも記憶に残すべき作品か。

偶々見つけたこの映画に言及しているエントリー;


http://www.rezavoircats.com/archives/50790260.html


また、園子温&ジェイ・ウェストへのインタヴュー;


http://allabout.co.jp/entertainment/movie/closeup/CU20061111H/