犯人も背景もわからず

厚生労働省の高官が宅配便配達を装った何者かに殺され、また別の元高官の妻が同様に宅配便を装った何者かに襲撃され重傷を負った事件で、新聞とかTVを見ていると、まだ犯人も捕まらず、勿論その背景もわからないのに「テロ」だということが大々的に見出しに掲げられ、それを前提とした上で、犯罪学者などのコメントが流されている。そして、2人の元高官が在職中「年金」に関わっていたとも解説されている。「テロ」というのはより客観的に言えば〈行為による宣伝〉ということになろうが、このような殺生を行って何を〈宣伝〉したいのかよくわからないし、2人とも元「事務次官」とはいえ、かなり以前に退官している。このような〈テロテロ〉言説が何をもたらすのかといえば、先ず現職の厚生労働省関係者に、そして社会一般に恐怖心を徒に煽ることになるだろう。そして、厚生労働省ひいては政府に批判的な個人・団体に対する監視や弾圧を正当化しかねない(〈テロテロ〉言説に煽られた「世間様」*1はそれを是認するだろうし、さらにはそれを促進するよう警察などにプレッシャーをかける可能性がある)。また、「年金」だとかあれこれ解説してみせるのは犯人に代わって〈宣伝〉してやっていることにならないか。
ところで、TBSの番組を視ていたら、一水会木村三浩氏、左翼弾圧の元エクスパートである佐々淳行という立場の異なった人たちが「テロ」という先行的判断を相対化するような発言をしていた。