「おはぎ」、「路傍の神」(メモ)


「おはらい」というと、ヤマトンチューの私は、どうも神主が御幣*2を振って祝詞を上げるというのを想像してしまう。「酒と塩」というのは神道とも共通しているようには思うが。ほんとうに現地でも「おはらい」と言っているのか。それとも、記事を書いた記者がヤマトンチューの読者にもわかりやすいように「おはらい」という言葉を使ったのか。そして、この言い方は民俗学的・宗教学的に妥当なものなのかどうか。それが問題だろう。
http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20081022/1224698829
と書いたのだが、それに関連して、最近読み始めた比嘉政夫『女性優位と男性原理』の「まえがき」から少しメモ。比嘉氏は「文化庁の補助と助言によって一九七五年と一九七六年の二年間に行なわれた民俗文化財緊急調査の報告書」『沖縄県民俗分布図』(沖縄県教育委員会、1977)について触れている;

(前略)年中行事など沖縄独自のものにある程度目配りがされてはいるものの、本土の生活習俗の項目をそのまま持ち込んだ調査項目も含まれていた。たとえば「おはぎの名称」や「市(イチ)の名称」、「同族集団の名称」「路傍の神」について聞くなど、ときによっては沖縄の民俗調査においては〈文化的消化不良〉を起こしかねない内容があったのである。沖縄の「フチャギ」と称する小判型の餅に小豆をつぶさずにそのまままぶしたものが本土の「おはぎ」と対応するものかどうか、また、沖縄の父系出自集団「門中」が「同族集団」と併行的に把握できるものかどうか、そして、一種の魔よけとしてT字路の突き当たりなどに据えられる「石敢当」が「路傍の神」なのかどうか、そういうことの検証が必要なのである。(p.2)
さらに、『沖縄県民俗分布図』の「あとがき」が引用されている。それに曰く、「沖縄の民俗が特に本土の民俗と大きな差異があるという観点から、独自の[調査]項目約三百と要綱を作成したが、今回は全国的な視点での調査だという文化庁の助言により割愛した」(ibid.)。
女性優位と男系原理―沖繩の民俗社会構造 (シバシン文庫 4)

女性優位と男系原理―沖繩の民俗社会構造 (シバシン文庫 4)