承前*1
(前略)『イソップものがたり』で読んだんだけど、話していい? もちろん、と彼は椅子に座りなおして少女の眼を見つめた。あのね、狩りが好きでとても勇敢な息子が、ライオンに食べられちゃう夢を見たお父さんが、ほんとに食べられたらいけないと心配して、頑丈な塔を建てて、そのうえに息子を閉じこめるの、外の世界に出なくてすむようにって。そして息子の好きな動物の絵をたくさん描かせたの。ライオンの絵もあったのよ。ある日、退屈でしかたないから、ライオンめ、おまえのせいでぼくは外に出られないんだ、って怒った息子が絵をぱんとたたいたら、その下に出ていた釘が爪のあいだに刺さって、ばい菌が入って、それがもとで死んじゃうの。(後略)(p.19)
- 作者: 堀江敏幸
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2008/04/25
- メディア: 文庫
- 購入: 3人 クリック: 43回
- この商品を含むブログ (79件) を見る
次はアラニス・モリセットの”Ironic”;
アイロニーというのは事後的な認識の準位に属するのであって、行為の準位、出来事の準位ではたんなる偶然性なのだろう。
http://www.azlyrics.com/lyrics/alanismorissette/ironic.html
- アーティスト: Alanis Morissette
- 出版社/メーカー: Warne
- 発売日: 2003/03/03
- メディア: CD
- クリック: 6回
- この商品を含むブログ (28件) を見る