日曜日は外灘へ行って、先ずStudio Rouge*1の任虹『万花筒(Kaleidoscope)』*2を観る。6月28日までの筈だが、まだ展示していた。「万花筒」は日本語で言えば、万華鏡。文化大革命時代のプロパガンダのイメージをネタとした「紅色記憶」シリーズが中心。文革時代のプロパガンダをネタとするのは中国の現代アートではありふれているといえるが、任虹の場合、画面の地が矢印や鳩といった細かいパターンとなっており、この地が図である毛沢東や雷鋒のイメージに拮抗しており、これらのイメージが構成/解体された記憶であることがあからさまになっている。万華鏡というよりはジグソー・パズル。
また、滬申画廊*3の顧徳新『2008.06.21』*4。このオープニングの日付をタイトルにしただけのインスタレーション・プロジェクトは、ゲーム『シム・シティ』をモティーフとして、〈都市論〉を行っているともいえるのだが、外部に露出されたバス・タブと便器の印象が強い。
それから、Glamour BarでArthur Jones & Luther Jonesによるドキュメンタリー映画A Farewell Song*5を観る。
羅守誠、屠偉剛、翁鎮発はかつて国家要人や外国要人の前でも演奏した中国古典音楽のマエストロ。しかし、市場経済化の余波で国営オーケストラは解散し、現役を引退していた。しかし、自主的なコンサートを企画する。この映画は彼らが、途中アレンジャーである陳大偉の急死を乗り越えて、コンサートを開催するまでを描く。また、彼らが語る回想はそれ自体が中国現代史の証言でもある。なお、陳大偉のインタヴューのシーンでは画面に登場する亀が印象的であった。
『陽関三畳』は中国語題。王維の詩から。岩波文庫版の『王維詩集』には、「送元二使安西」という題で収められている(pp.252-253);
渭城朝雨浥軽塵
客舎青青柳色新
勧君更盡一杯酒
西出陽関無故人
(p.253)
- 作者: 小川環樹,都留春雄,入谷仙介
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1972/10/16
- メディア: 文庫
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