http://d.hatena.ne.jp/heartless00/20080702/1214986120
「大半の非モテは性悪ブスと結婚するくらいなら一人の方がいいと思っているはずだ」とあり。
神話論的に言えば、そんなことを言っていると長生きできません。大山津見神は瓊瓊杵尊に自らの娘であるイハナガヒメ(石長比売*1とコノハナノサクヤビメ(木花之佐久夜比売)*2姉妹を妻として差し出した。しかしながら、イハナガヒメは容姿があまりに醜かったので、親元に送り返されてしまった。ニニギの許には、「木の花が栄えるかのごとく繁栄」を意味するコノハナノサクヤビメしかおらず、「石のごとく雪や風が吹いても微動だにしない命」であるイハナガヒメがいなかったので、これ以降(ニニギの子孫としての)天皇或いは人間一般は死を知ることとなった。勿論、これは物語の構成上、神武以降の〈歴史物語〉の展開を準備するために、神を人間化しなければならなかったということであろう。それはともかくとして、このエピソードを根拠にして、逆に長寿を祈るために醜女と交わるという信仰があったとする人もいる。例えば、鈴木日出男『はじめての源氏物語』によれば、『源氏物語』の末摘花の話にはイハナガヒメの神話の残響がある。結論としては、早死にしたくなければ、「性悪ブスと結婚するくらいなら一人の方がいい」は撤回すべきである。
- 作者: 鈴木日出男
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1991/04
- メディア: 新書
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