余りに戦後的

http://d.hatena.ne.jp/t-kawase/20080629/p2http://d.hatena.ne.jp/dj19/20080629/1214688044で知る。
『朝日』の記事;


下関市教育長「植民地支配は歴史的事実に反する」

2008年6月28日17時5分


 山口県下関市の嶋倉剛教育長(44)が26日、学校への教育補助金増額を求めて訪ねてきた山口朝鮮学園の金鍾九理事長と保護者らに、日本の朝鮮半島に対する植民地支配について「植民地支配は歴史的事実に反する」と述べた。

 同学園は山口朝鮮初中級学校を運営。この日、保護者側は「植民地支配によって日本に渡航せざるを得なかった朝鮮人子弟が通っている。ほかの外国人学校とは経緯が違うことをふまえて対処してほしい」と要望した。これに対し、嶋倉教育長は「植民地支配という部分については歴史的事実に反するので受け入れられない」と述べた。

 保護者らは机をたたくなどして激しく抗議し、金理事長も「歴史的事実は歴史的事実と受け止めて」と主張した。嶋倉教育長は「日朝併合の部分をいかに言うかは自由」と言いつつ、植民地支配であったことは改めて否定。「そこは日朝交渉でやって頂ければいい話」と述べた。

 金理事長は「日朝平壌宣言や日本の首相談話にも植民地支配への謝罪が盛り込まれている。それを否定することは国のトップを否定することだ」と話す。嶋倉教育長は朝日新聞社の取材に「助成の話に昔の話を持ち出すのは筋違い」と話した。

 嶋倉教育長は87年に文部省に入省。教育財政室長などを歴任した。下関市では前任の教育長が突然辞職して4月から空席だった。市は後任を文部科学省に求め、嶋倉氏が5月に着任した。

 下関市朝鮮半島はつながりが深い。戦後、朝鮮半島に帰る船に乗ろうと下関には多くの朝鮮半島出身者が集まった。現在もその子孫が多く住み、約4千人が韓国・朝鮮籍外国人登録をしている。下関市と韓国の釜山市との間には関釜フェリーが就航し、両市は姉妹都市として提携している。(島津洋一郎)

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 山口県下関市の嶋倉剛教育長が「(朝鮮半島の)植民地支配は歴史的事実に反する」と発言したことについて、渡海文部科学相は27日の会見で、「我が国の植民地支配によって多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大な損害と苦痛を与えたという認識を政府は表明しており、私の認識も同じ。もしそれに反する発言ということであれば、大変遺憾だ」と話した。
http://www.asahi.com/national/update/0626/SEB200806260009.html

これに対する反駁は上に挙げたdj19さんのエントリーに詳しい。
ところで、少し前に「安重根」という名前に言及したことがある*1。このはてなキーワードには、しつこいくらい「植民地支配」を否認して「正しくは併合」という言葉遣いが登場している。強迫神経症? 思ったのだけれど、これって皮肉なことにあまりに戦後的な態度なんじゃないかと思った。多分、老舗の殖民地主義国である英国人や仏蘭西人ではこういう態度は取らないだろうし、また日本でも戦前な人でもこういう態度は取らないだろう。戦前の日本のエリートは、殖民地主義の先輩である英国式と仏蘭西式のどちらがいいのかというのを真摯に研究していた筈で、そこでは殖民地支配或いは殖民地経営それ自体が悪いという認識は存在しなかったのではないか。敗戦によって、日本は殖民地から解放されて、日本人は日本列島に引き籠ることになったわけだが、戦後の〈民主教育〉によって、殖民地支配は悪いということは沁み込んでいるので、殖民地支配という事実それ自体を否認してしまうというわけか。
また、http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080627/1214569310をマークしておく。