中国に於ける民族帰属(メモ)


ちなみに漢民族にあたる人でも、保護を求めて少数民族と申告する場合があると聞く。これは漢民族が実質的に文化による区分にすぎず、遺伝で見ると長い歴史を経て相当に周辺の民族と入り交じっている背景が可能にしたことでもある。
http://d.hatena.ne.jp/hokke-ookami/20080416/1208390936
NHKの『その時歴史が動いた』で「水平社運動」を採り上げたということは知らなかった。西方万吉とか出てきたのだろうか。
さて、上のパッセージを読んで、少し私の記憶から書き出してみる。
先ず、中国において、民族の帰属は基本的に自己申告制で、特に漢族と少数民族の間に生まれた人では少数民族になる人が多いように思われる。これは少数民族になれば、大学入試などのときのアファーマティヴ・アクションの対象になるとか、独子政策の対象から免除されるということが大きいようである。また、長い間差別されてきた人たちが差別の緩和に伴って、カミング・アウトすることもある。例えば、満族*1。1980年代以降満族の人口が増えているが、これは出生率が上昇したことによるものではなく、辛亥革命以来の満族に対する差別の中で、自らのアイデンティティを隠していた人たちがカミング・アウトして、改めて満族と名乗り始めたためである。因みに、現在の中国で満族であることは、〈貴族の末裔〉ということでプレスティージのひとつになっているところもあるのではないかと思う。
上で、「基本的に」と書いたのは、自己申告すれば常にすんなりといくというわけでもないらしいからだ。「納西族」という民族名称についての紛糾については以前言及した*2。あと、雲南や貴州には、民族帰属が未確定となっている人たちがいる。この中には、昔移民して現地人の文化に同化してしまった漢族が多いらしい。当人たちは、漢族とは独立した少数民族になることを希望しているが、政府側はそれをまだ認めていないということを聞いたことがある。
以上は、特定のソースを参照してではなく、完全に記憶に頼っているので、詳しくは識者のご教示を俟ちたい。