「マナー」か

http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20071107/1194423783とも関連するのだが。

http://d.hatena.ne.jp/sean97/20071216/p2にて知る。『産経新聞』の記事なり;


後絶たぬ駅や車内のマナー違反 都市化進行で社会性失う?

12月13日14時8分配信 産経新聞
 駅や電車内でのマナー違反が後を絶たない。禁煙場所での喫煙や車内での携帯電話の使用…。JR東日本管内だけでも、平成18年度中にこうしたマナー違反に対して寄せられた苦情は8000件を超える。東京都内では10月、JRの駅ホームで喫煙を注意した男性が、“逆ギレ”した相手から暴行を受け重傷を負う事件も発生した。トラブルに巻き込まれそうになった際の対処法について、専門家は「第三者を交えて冷静に話せる環境をつくって」と呼びかけている。(社会部 高木克聡)
 「これまでもマナー違反を注意してきたが、暴行を受けたのは初めて。なぜ、自分が暴行を受けたのか分からない」
 川崎市の会社員、市川敦さん(34)はこう憤る。
 市川さんは10月11日午前10時45分ごろ、JR南武線府中本町駅東京都府中市)の1番ホームで喫煙していた男に「ここは禁煙場所ですよ」と注意した。男はそれに応じて喫煙をやめたが、市川さんが立ち去ろうとすると突然、殴るけるの暴行に及んだ。市川さんは顔面骨折などで全治7週間の重傷を負った。
 男は川崎市の無職、原田康秀被告(41)で、駆けつけた警察官に現行犯逮捕された後、傷害罪で起訴された。
 「たばこを捨ててくれたときに分かってくれたと思ったが、なぜ殴りかかってきたのだろうか。裁判で明らかになればいいと思う」
 そう話す市川さんは、暴行を受けた後もこれまでと変わらず、禁煙場所での喫煙を発見すると、その都度注意をしているという。「少しでも電車利用者にマナーが浸透していくといいと思っていますから」
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 車内での携帯電話使用やイヤホンから漏れるほどの音楽プレーヤーの大音量、女性の化粧…。禁煙場所での喫煙以外にもマナー違反に対する苦情は多い。
 JR東日本によると、16年度に寄せられた苦情は5667件だったが、17年度は7174件、18年度は8761件と、この3年間でも著しく増加している。また、飲酒した乗客らによる駅員への理不尽な暴力も多発。JR東日本によると、18年度に駅員が乗客から暴行を受けた件数は288件で、同社はポスターや構内放送でマナー向上を呼びかけ、駅員にはトラブルへの対応マニュアルや携帯防犯ブザーを配布している。
 こうした理不尽な暴力やモラル低下について、銀座泰明クリニックの茅野(ちの)分(ぶん)院長は「都市化が進み、家族が機能を失ったことで社会性を欠いた人が多くなっている。自分の中の不満を相手にぶつけてしまう人も増え、トラブルを招きやすくなっているのではないか」と分析する。
 その上で、「トラブルに巻き込まれそうになった際には、第三者を交えて冷静に話せる環境をつくる必要がある。第三者がいれば、突然暴行を加えられることもないだろうから」と話している。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071213-00000941-san-soci

まったくもって、「マナー違反が増えたのは、マナー(とされるもの)が増えたから、に決まっているでしょう」ということになる。コメントとしても以前のものに付け加えるものはあまりないだろう。ただ、「僕が子どもの頃は、電車でタバコは吸い放題」。そうだったの?少なくとも東京周辺では電車の中は昔から禁煙だった。ただ、空いている時間帯はまあいいんじゃないという黙約はあったと思う。しかしながら、(地上の)プラットフォームが禁煙になったのはつい最近のことで、10年ちょっとしか経っていないと思う。私はこういう規制は不当だと思うので、吸いたいときはプラットフォームで煙草を吸う。勿論、混み合っていたり、周囲に妊婦がいたりすれば吸わない。それは私の行動の様式(manner)である。多分、「市川敦」のような頓珍漢に絡まれても、ただI want to smoke、我要抽煙というだけだろう。しかし、煙草の煙は苦手なんですけどと言われれば、素直に受け入れる。
ところで、「マナー」という言い方も、よく考えてみるとわからない。「マナー」はそもそも様式で、社会的によいと評価されるマナーもあれば、悪いと評価されるマナーもある。悪いマナー、例えばスープを音を立てて飲むとかに対するサンクションは、例えば田吾作!というような軽蔑だろう。上の記事で言われているようなことというのは、「マナー」に対する本来の反応とは違う気がする。「マナー」に関しては〈正義感〉というのはちょっとお呼びではないのではないか。代わりに関係するのは、美意識或いは不吉感だろう。不吉感についていえば、子どもの頃から、飯に箸を突き立てることはきつく戒められてきた。それは飯に箸を突き立てるというのは日本文化においては死に関係するからだ。しかし、西洋人や中国人では飯に箸を突き立てる人がけっこういる。そういうのを目にして、私は何だか不吉な感じがする。また、数年前に、煙草絡みで、千葉県の某フレンチ・レストランで不快な思いをしたことがある。隣のテーブルで、或るオヤジが(多分)妻や娘たちと食事をしていた。不図目を遣ると、そのオヤジはまだメイン・ディッシュを食べている最中だというのに、こちらの方を向いて煙草を吸っていたのだ。別に禁煙席ではないので、「市川敦」流には「マナー違反」ではないのかも知れないが、私は凄く不快な感じがしたのだ。それは、私が仏蘭西料理のコースでは食事が終わって珈琲とスウィーツが運ばれるまでは煙草を吸ってはいけないという「マナー」を受入れ、自明視していたからだ。このオヤジのおかげでフレンチ・レストランで食事をしているという雰囲気がブチ壊しじゃないかという怒り。
さて、反省能力のない〈正義漢〉というのはいちばんどうしようもないと思う。「市川敦」が「会社員」であったということは社会にとってラッキーなことだろう。公務員とかにならなくてよかった。罷り間違っても、政治家になりたいなどとは思わないように願いたい。