Shanghai, Waiting for Paradise

日曜の夕方、外灘のThe Glamour Barに出かける。
上海在住の仏蘭西人ジャーナリスト/映画作家であるSilvie Levey(楽詩薇)*1によるドキュメンタリー映画Shanghai, Waiting for Paradise(Shanghai, en attendant le paradis)(方浜路的等待)*2を観る。
豫園の近く、旧上海県城で中国服の仕立屋を営む王一家に2001年以来密着したドキュメント。王一家は祖母、息子夫婦、孫娘の三世代が同じ屋根の下に暮らしている。2001年、その一角が再開発のため、取り壊されることが通知される。(中国の一般庶民にとっては)多額の補償金と浦東の小綺麗なアパートが与えられるのだが、段々と世代間の葛藤が顕わになってくる。登場人物たちは(王一家に限らず)とにかく喋る、喋る。中国を題材とした(外国人による)ドキュメンタリーで、これだけ登場人物が本音をぶちまけるというのは珍しいのではないだろうか。
段々と取り壊され、更地になっていく街並み。また、TVの画面を通じて、9.11テロ、イラク戦争アテネ五輪等々が映し出される。メディアを通じて、この上海の片隅がグローバルな社会に接続されていることになる。あと、王一家に出入りする、近所の病院に30年以上勤務している許医師の語りにかなりの時間が割かれているが、これも味わい深い。また、映像として面白いのは、カメラが人物から目を逸らすと、動物がいるということだろう。家に住み着いた猫たち、街頭で売られる鼈、それから鼠。
映画の冒頭近くで、隣近所がバスを貸し切って浦東まで結婚式に出かけるシーンが出てくるが、再開発で失われてしまうもののひとつは、このような近隣の繋がりだろう。