紀元会起源など

承前*1

『産経』の記事;


紀元会暴行死 教団、地元と乖離

10月17日8時0分配信 産経新聞
 ≪「ガン治る水」を信者に販売/教祖妻死因は肺がんの皮肉≫

 「紀元会」による集団暴行死事件。創設者の男は、あらゆる病気が治るとする「紀元水」を信者(会員)に販売、リンゴ畑だった田園地帯に巨大な鳥居や宮殿のような施設を作っていた。教団の周辺住民らの話からは、地域と乖離(かいり)していた教団の姿が浮かび上がる。

 ■呪文

 「自分は八幡太郎義家の生まれ変わり」「日本の114カ所にお宮を建てないといけない」。兵隊の復員服のような格好でひげをたくわえた男が、婿養子で入る形で群馬から小諸にやってきたことがすべての始まりだった。しばらくたつと男の妻の知り合いが信者となり、男を「神様」と呼ぶようになった。男を教祖とあがめる信者はじわじわと増え、昭和45年、教団が正式に発足した。

 周辺の土地は次々と教団に買収され、巨大な神社も建設された。

 近所の男性(76)が、信者に「そんな金どこにあるのか」と尋ねたところ、信者はうれしそうに笑ったという。「神様が呪文をとなえると宝物の場所が分かる。そこを掘り返すと、宝物が出てきたんだよ」

 ■祭り

 教団は、「ガンの治る水」と「紀元水」を販売。当初は牛乳瓶入りだったが、購入者が増えると桐箱に入った一升瓶で販売するようになった。値段は一時、1本6万円にも達したという。

 水は会員にならないと購入は不可能。会員の中には、神社で働きながら、財産のほとんどを捧げた人もいた。

 15〜20年前には、町に「北海道」「群馬」などと信者の多い地域名が書かれたちょうちんをぶら下げ、会員がはっぴを着て練り歩く「紀元水祭り」も行われた。

 祭りでは「第2のキリスト誕生」といったフレーズが語られ、5000人近くが集まることもあった。スーツやドレスで正装した教祖夫妻が祭壇に座ると、信者が手を合わせながら次々にお金を入れていった。

 紀元水の「正体」について近所の男性(65)は「施設の裏手の建物に、群馬からタンクローリーで水を運び込んでいた」と打ち明ける。

 ■苦情

 関係者によると、教祖夫妻はすでに死去。15年ほど前に亡くなった妻の死因は皮肉にも「肺がん」。「紀元水があるのに、なぜ」と地元では揶揄(やゆ)されたという。

 逮捕された窪田康子容疑者とは別の娘が後継者となったころから、「脱会者が増え、教団の力が弱くなった」(近所の男性)。

 近所の男性は「後継者の娘が小学生のとき、学校まで高級外車で送迎された。車から教室まで赤絨毯(じゅうたん)を敷き、教室にも信者がついていって問題になったと聞いた」と振り返る。

 信者はあいさつもせず、集団で緑色の上下ジャージーを着て歩き、近所の人から気味悪がられるようになった。近所との“共存”もできず、市役所には、教団が穴を掘って埋めていた、果物や油揚げなどの生ゴミに関する苦情がたびたび寄せられていた。市が注意しても「供物であり、自然に帰しているだけ」と取り合わなかったという。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071017-00000062-san-soci

「婿養子」。上州と信州の対立。「兵隊の復員服のような格好」――1960年代は「兵隊の復員服」に未だリアリティがある時代だった。そこかしこに〈傷痍軍人〉がいた時代。「114カ所にお宮を」。114の意味は? また、「緑色の上下ジャージー」の「緑色」の意味は?記事は教団が「地域と乖離(かいり)していた」と印象づけることを主眼としているのだろうけど、教祖自身が余所者であり、信者の中の地元出身者と非地元出身者の内訳はどうなっているのだろうか。そういえば、「紀元会」の場合、どの記事を見ても、信者数についての言及がない。
次いで、『毎日』の記事;

紀元会 死亡女性に「紀元水」かけ「復活儀式」

10月18日17時12分配信 毎日新聞

 宗教法人「紀元会」(長野県小諸市)信者の奥野元子さん(当時63歳)が集団暴行され死亡した事件で、暴行を受け動かなくなった奥野さんに信者が「紀元水」をかけ、回復させようとしていたことが17日、関係者の話で分かった。同会は紀元水を「不治の病に効く」「神様の水」と称し信者に配布している。効能を信じ込んだ信者が「復活の儀式」として紀元水をかけた可能性があるという。
 県警小諸署捜査本部などの調べでは、暴行は同会幹部の窪田康子容疑者(49)の指示で始まった。9月24日午後11時半ごろから約1時間にわたり、奥野さんを取り囲んだ信者らが代わる代わる殴るけるの暴行を加えたという。ぐったりした奥野さんに信者が紀元水をかけ、人工呼吸も行ったものの回復せず、同25日未明、家族が搬送した病院で死亡が確認された。
 同会関係者は「創設者の男性(故人)に神が降りて、『群馬にある水をみなに分け与えなさい』という神のお告げを得た。それが紀元水の始まり」と話す。水は群馬県内から運ばれているとされ、同会と関係のある小諸市内の工場でガラス瓶などに詰められているという。定価はないが、桐の箱に入れられ、1本に対し数万円を支払う信者もいるという。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071018-00000026-maip-soci

「復活の儀式」。「復活の儀式」それ自体は珍しくはないだろう。儒家式の葬礼では招魂を欠かすことはできない。また、山口県光市の母子殺人者も「復活の儀式」だとして、屍姦を行った。この水をかけたというのは、その場の思いつきだったのか、それともそのような宗教様式が確立していたのか。
また、『読売』の記事;

紀元会」暴行死、被害者二女の数年前の言動きっかけ


 長野県小諸市の宗教法人「紀元会」の会員で、すし店経営奥野元子さん(当時63歳)が集団リンチで死亡した事件で、同会創設者の孫の少女(15)に対して元子さんの二女が数年前にとった言動が暴行のきっかけだったと、会員が小諸署捜査本部に供述していることが18日、わかった。

 捜査本部は、リンチの背景に創設者の親族を中心にした組織実態があったのではないかとみて、数年前の言動が改めて批判された経緯を調べている。

 少女は、紀元会を創設した男性の娘、窪田康子容疑者(49)(傷害致死容疑で逮捕)の長女。関係者によると、創設した男性は2002年ごろに死亡し、窪田容疑者は教団の幹部という。

 調べによると、元子さんの二女、森美智子容疑者(26)(証拠隠滅容疑で再逮捕)は数年前、少女に避妊具を渡し、会員たちから批判された。元子さんへの暴行があった9月24日夜、50人以上の会員がいる中で再び批判され、まず森容疑者、次いで森容疑者の夫の池勇治容疑者(30)(同)が会員から暴行を加えられた。さらに、元子さんが呼び出され、「娘の素行が悪いのに、どう思っているのか」と責められ、暴行を受けた。

(2007年10月18日14時39分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20071018i110.htm

これもよくわからない記事。「元子さんの二女、森美智子容疑者(26)(証拠隠滅容疑で再逮捕)は数年前、少女に避妊具を渡し、会員たちから批判された」。数年前といえば、小学校高学年か中学生である。そういう少女に何の脈絡もなく、「避妊具を渡」すというのは世間一般において「批判」に値する振る舞いであろう。