中国戸籍制度についての意見(メモ)

関良基「中国の集団所有制度の利点について」http://blog.goo.ne.jp/reforestation/e/76d6fe3255fe3f1604fbabca899a3913


この中から、中国の戸籍制度の農民にとっての「セイフティ・ネット」としての機能について述べられている箇所をメモしておく。
曰く、


中国では、森林のみならず、農村では農地も集団所有です。1978年の農地請負制の開始以来、農地は世帯ごとに分割され、世帯経営が行われていますが、集団所有地であることに変わりはありません。村が集団所有権を持ちながら、経営は個別に行われているという、世界的にも非常にユニークな土地制度です。

最近の中国では、農村と都市の戸籍差別が大きな問題になっています。戸籍差別が悪いというのはそのとおりです。しかし戸籍制度を撤廃せよという一見すると「正義」に見える主張に安易に乗っかると非常に多くの問題を生み出すでしょう。失地農民が激増し、中国も、例えばフィリピンのように都市スラムが膨張する国になると予想されるのです。

 中国では、農村と都市で戸籍がなぜ違うのでしょうか。中国では都市部の土地は国家所有であり、農村部の土地は集団所有です。農村に住み農村戸籍を持つ者は、所属する村の集団所有地の中から、請負農地を受け取る権利を持ちます。つまり農村の土地集団所有制が維持される限り、原理的には「失地農民」というものは発生し得ないのです。
 中国の農民は一度、都市へ出て工場労働者になっても、また村へ帰れば再び請負農地を分配される権利を持ちます。これが農村戸籍を所持する者の社会的なセーフティ・ネットなのです。