1元札

梶ピエールさんのところで、北京では1元札が多く上海では1元コインが多く流通していることが書かれている*1。その考えられうる理由として、「両都市における自販機の普及度の違い」が挙げられている。たしかに上海では圧倒的に1元コインが多いことはわかる。「自販機」であるが、上海の地下鉄には勿論「自販機」はあるが、それでも窓口で切符を買う行列も自販機の行列と同じくらいに長い。また、自販機でも紙幣は使える。地元民の場合は、切符を買うよりも、地下鉄、バス、タクシー、フェリーに通用する交通カードを使う方が主流だといえるだろうか。また、そこのコメント欄に、「上海では周期的に1元札の流通が増えたり減ったりしているような感じがいたします」と書き込んだ。これも何故だかわからないが、日によって今日はどこの店でもおつりが1元札だなという日が数週間に1回はある。勿論、偶々なのかも知れない。
さて、『東方早報』の7月20日号に沈若愚「上海的一元紙幣為甚麼少見?」というコラムが載っていた。それによると、上海人が1元札が嫌いだということはないという。曰く、「上海的商家和老百姓対一元的硬幣和紙幣基本都可以接受、只要紙幣不是残破的」。問題なのは、「在一些北方地区、西部地区、一元的硬幣是基本不流通的」であることだという。沈氏はある上海人がチベットに遊んだ際に1元コインを全然受け取ってもらえなかったことを例に出す。何故「一些北方地区、西部地区」の人は1元コインが嫌いなのか。コインは重たい、便利でない(不方便)、保管が面倒臭い、コインの使用に慣れていない、偽物を恐れている等。とにかく、これらの地区では1元札に対して「強烈偏好」があるので、中央銀行としてもこれらの地区に優先的に1元札を回す。従って、札でもコインでも構わない上海のようなところには、コインが回ってくるというのが沈氏の意見である。また、上海にはコインを作る造幣工場がある。さらに、中国のコインを鋳造している「中国印鈔造幣総公司」の造幣工場は、上海を含め、3箇所とも「我国広義上的東部」にあることも上海におけるコインの多さに影響しているだろうという。
ところで、「北方地区、西部地区」だけでなく、南方に属す広西壮族自治区では、田舎町である北海*2はもとより省都である南寧でも1元コインは殆ど流通していない。